そんな顔しないで夏油くん ページ15
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「花奈…?」
「はっ?え?げ、夏油くん…」
そこに居たのは呪霊でもなく幽霊でなく、夏油くんだった。だけど今、何よりも会いたくない人だ。
「や、朝ぶりかな」
「あぁ…こんばんは〜…」
動け!動けよ表情筋!!精一杯笑ってもガチガチの苦笑いにしかならないじゃないか!!
「何かあったの?目が腫れている」
ごくり、思わず空気を飲む。なんだよこの緊張感。なんだよこの気持ち。
出処が分からない緊張と会いたくなかったという気持ち、それに少しだけ会えて嬉しいと言う感情。
この感情を向ける相手と会って再確認する。やっぱり私は夏油くんのことが好きだ。
でも、諦めなくてはならない
「いや、なんでもないよ。ごめんね夏油くん、私眠いから帰るね」
控えめに手を振る。もう飲み物とかどうだっていいや。
「なんだか君らしくない、どうして?」
「夏油くんには関係ないよ」
「気負わずに話してくれよ。Aが元気でないと私も心配だ」
君のせいで私がこんなふうになってるなんて言えるわけが無い。言う必要も無い。
「ごめん」
「っ…待ってくれ」
後ろを向いて歩き出そうとした私の腕をグイッと夏油くんが掴む。なんでよ、どうしてそんなに引き止めたいの?
「A…!」
眉を下げて心配そうな顔をしてこちらを見る夏油くんを見ると、なんだかこちらが悪いことをしているような気がしてくる。
腕を振り払って逃げることも出来る。だけどそんなことをしたらもっと心配される。そうして事が大きくなって…。
そんなことになってしまうなら、もういっその事言ってしまおうか。
黒ずんだ電灯がちかちかと光る。夏油くんの顔が照らされる。
薙ぎ払えない緊張感を隠すために呼吸を整える。
言えば終わる、言いさえすれば…
覚悟を決めた私はゆっくりと口を開いた。
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あいすくりぃむとちょこれぃと - えっちだ… (2021年12月30日 0時) (レス) @page21 id: 8ef3002cf4 (このIDを非表示/違反報告)
てんぎつね。 - 感動物語やあぁ………………………………… (2021年7月31日 8時) (レス) id: 04fcd4138c (このIDを非表示/違反報告)
――――― - 更新待っています! (2021年4月3日 20時) (レス) id: 5dc69588e6 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - さつきさん» たった今更新しました!更新頑張ります! (2021年3月18日 18時) (レス) id: 4fa03405f9 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 天さん» ありがとうございます…!サボっててすみません… (2021年3月18日 18時) (レス) id: 4fa03405f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2021年3月7日 13時