噂のあの子。６

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タイトル曲を歌い終えれば
再び割れんばかりの歓声が会場を包んだ









慣れない状況の中で
他の４人のフォローもあってか
なんとか無事にイベントは進んでいく









…かといって私はまだ
安心することはできないのだ←









「Aさん！こちらでスタンバイお願いします！」




『は、はい！』









最後のステージ用の衣装に着替えて
メイクだってMVの時と同じ









いってらっしゃい、と
背中を押してくれたウナおんにに感謝して
私はステージ袖で出番を待つ









ステージモニターに映るのは
私たちのMVメイキングのハイライト









そんな中でステージ上にピアノが設置され
いよいよ私の出番がやって来た









今はもうプレッシャーよりも
楽しさのが勝ってるから不思議









一気に暗転した会場
それを合図に私はステージへ









……









フワフワした感覚
練習室で一人で弾いてるみたいに
私にはピアノの音と自分の声しか聞こえない









この空間に自分しかいないみたい









MV撮影の時の感覚とはまた違って
今は本当に夢みたいな感じ









周りなんて気にならない









そして最後の歌詞を歌い終えれば
大きな拍手が会場全体を包む









無我夢中で歌ってたから
改めて会場にいるお客さんを見た瞬間
思わず涙が溢れてきた









自分の思い描いてた夢が
もうすぐそこにあるせいなのかな









手を伸ばせば
すぐ掴めるそんな距離に









それとも…









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もうすぐ来る "別れ" に
今さら悲しくなったからなのかな









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