噂のあの子。６

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『すぐ戻る！』









そう告げて部屋を出て
携帯を手にする









鳴ったのは気づいてたけど
相手が相手だったから取れなくて









『…なんなの』









たった1件の着信の為に
わざわざ部屋を出た自分に呆れるけど









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"着信 ヘヨン"









何の用があるのか
こうやって電話してくる彼女にも呆れた









画面にヘヨンの番号が出たのを確認して
私は通話ボタンを押す









prrrr... prrrr...









何度目かのコール音の後に









"もしもーし"









呑気な彼女の声が聞こえてきて
嫌な感情が思わず出てきた









『…なに？』






ヘヨン(なに？って(笑)そんな言い方酷いですよ〜)






『用がないなら切るけど…』






ヘヨン(そこにベッキョンいます？)





『え、？』









相変わらずの彼女から
ベクの名前が出てきて動揺してしまう









ヘヨン(おんに分かりやす(笑) まぁ、居ようが居まいが関係ないですけど…)









ふっと鼻で笑ったヘヨンは
私はずいぶんと馬鹿にしてる様子で









ヘヨン(明日のレコーディング、皆さんに差し入れ持っていきますね^^)






『は？』








続けて聞こえたそんな言葉には
さすがに本音がこぼれた









ヘヨン(皆さんにちゃんとご挨拶したいですし、おんににも久しぶりに会いたいですから)









そんな口実で
明日この場に来るって言うの？









『来ないで』









これも本音
もうこの子に気を使うつもりもないし









『自分の立場分かってるの？』









公式的にコメントを出したからといって
相手側の事務所にまで平然と来るなんておかしい









『アイドルとしての自覚をもっと…』









こんなんじゃ他の人にも
迷惑がかかると思って言ったのに









ヘヨン(それはおんににそっくりそのままお返ししますね)






『え、？』









何の悪びれもなく
そういう彼女に驚いた









ヘヨン(おんにこそお世話係っていう自覚、持ってくださいね？)









腹が立つと言うか
言い返す気力もなくなる









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