【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅲ (ページ10)

今日:8 hit、昨日:9 hit、合計:9,682 hit

・ページ10

「リゼンブールに戻ってからも毎日研究を怠らなかったし！」

「師匠の言う通り体も鍛えてますしね！」

エドとアルは徐に食卓の席から離れると、喜々としながら自慢げに語り出す。そんな兄と弟の様子を、私は師匠の反応にも目をやりながら眺めていた。

師匠は微笑ましそうに2人の様子を頬杖をつきながら優しい瞳で見つめている。

「ボク達かなり大質量の錬成もできるようになったんですよ！」

「そうだ！どうせなら表でドーンとやってやろうぜ！A！アル！」

幼児のような無邪気な笑顔を振り撒きながら、エドは私の腕を強引に引く。少しバランスを崩しながらも私は大した抵抗もせずエドに引っ張られ玄関口へ向かった。

「師匠も早く早く！」

「はいはい、今行くよ」

外へ出る前に、私は振り返ってもう一度師匠の様子を伺う。私と目が合った師匠は、どこか哀愁の漂う笑みを浮かべ私へニッコリと微笑んだ。

***

外へ出たアルは、我先にと言わんばかりに錬成陣を描き始める。年相応にはしゃいでいる弟を微笑ましく思いつつ、私はアルの隣からその様子を眺めた。

六芒星を象った錬成陣を書き終わると、アルは勢い良く両掌を錬成陣へ触れる。瞬間、見慣れた錬成反応で辺りに光が飛び散り、六芒星の中心には可愛らしい馬の人形が鎮座していた。

「ほー、早くて正確になったな」

「へへ」

「次オレ！ほらAもやるぞ」

『しょうがないなぁ』

錬成方法が同じせいか、エドは私と共に行うよう誘いをかける。特に断る理由も無かった為、少々不服だが私はエドとほぼ同時に両掌をパンッ、と合わせた。

地面に手形がつくんじゃないかと心配になるほど勢い良く地に手を着く。エドはアルが錬成した馬よりも派手な…いや、最早ペガサスの様な造形のものを錬成。一方私は無難にアルよりも少し大きめの馬を錬成した。

「兄さんの錬成はもっとこうディティールがだねぇ！」

「なんだよっ！オレのセンスに文句あんのか！」

『大ありだろ』

「なんだと？！」

アルが突っかかって来たのを火蓋に、いつもの三兄弟喧嘩が始まる。エドの美的感覚は昔から思う所があったが、まさか師匠の前でも披露するとは思わなかった。

周りの目も気にせず喧しく口論を続けていると、突然師匠が会話に割って入って来た。それも、何か言いたげな表情で。

「お前ら錬成陣無しでできるの？」

エドと私を交互に見ながら師匠が問いかける。

「え？はい、一応…」

すると、師匠は次にアルの方へ視線を移しじっと見つめた。

「エド、A」