【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅲ (ページ7)

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「なんとか言え！！」

「無理だよイズミ」

そう言いながらシグさんは、血まみれになっているエドの首根っこを掴み師匠へ見せた。一部始終を見ていた私とアルは、震えながら師匠の次のリアクションに身構えている。師匠はゆっくりと私とアルの方へ視線を滑らせた。喉からヒュッと空気が漏れる。

「そこにいるのはAと…どちら様？」

「あっ…おっ…弟のアルフォンスです！師匠っっああああのっ」

『おっ、おおおお久しぶりですっっ！』

「アル！Aもずいぶん大きくなって！」

師匠はそう言うと、にっこりと笑って両手を差し出す。…許された、のだろうか。
アルと二人で胸を撫でおろし、私達は素直に師匠の手を握った。

＿＿＿＿＿瞬間、世界が回った。
いや、回ったのは世界じゃなくて自分だ。それを理解した時、臀部に激痛が走った。不安定な視界の中周囲の状況を確認すると、アルも同じように師匠に投げられた様子。

「鍛え方が足りん！」

『いってぇー…』

「師匠具合悪かったんじゃなかったんですか～～～」

「何を言う！お前達が遠路はるばる来たというからこうして…」

ごばっ、と突然師匠の口から血が噴き出した。
身体を酷使した為の反動からだろう。シグさんは困った様子で師匠に駆け寄ると、小瓶を取り出し手渡す。

「無理しちゃダメだろ。ほら薬」

「いつもすまないねぇ」

「おまえそれは言わない約束だろう」

「あんた…！！」

うーん、相変わらずのラブラブ夫婦っぷりだ。
その空気を遮るべく、アルが口を開いた。

「え～～と………あらためて」

「『お久しぶりです…』」

少し怖気付きながらも、私達は恐る恐る師匠へ頭を下げる。師匠はそんな様子をシグさんと共に眺めると、さっきまでの鬼の形相とはうってかわり、ニッコリと微笑んでエドの頭を叩いた。

「うん、よく来た！」

なんで私ではなく自分が叩かれるんだ、と心外そうな目で兄から睨まれてしまったが、それはご愛嬌という事で。ね？

***

「＿＿賢者の石？」

エドが言ったその単語を、師匠は顎に手を当てながら復唱する。

「師匠なら何か知ってるかなーと…」

「私は石には興味が無いからなぁ」

私は出されたお茶を啜りながらそんな2人の会話へ耳を傾けた。ここに来て早々なかなか踏み込んだ質問をするもんだ、と半ばエドに関心を示す。

「そんな伝説でしか存在しないようなモン研究してどーすんの？」

「いやっ…ほら、知的好奇心と言いましょうか！」