【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅲ (ページ6)

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第16話師匠の恐怖ページ6

「……エド…か？」

切れ長の瞳をエドへじっと向けているシグさん。エドは笑顔を引き攣らせたまま固まっている。
瞬間、シグさんの目が大きく見開かれその巨大な手のひらでエドの頭を鷲掴んだ。

「よく来た。大きくなったな」

ぐりぐりと頭を撫で始めるシグさん。対するエドは状況に頭がついていかないのか、されるがままに大人しくなっている。シグさんは満足するまでエドを撫で終えると、次に私へその切れ長の瞳を向けた。あれ、なんかデジャブ…

「Aか？大きくなったな。その眼どうした？」

『ああ、はい…ちょっとやんちゃしちゃって…』

「…そうか。アルは？」

『アルは……』

不思議そうな様子のシグさんに見つめられ、私はゆっくりとアルへ目配せをした。その視線に気が付いたアルとシグさんの目がお互いに合う。

「ご、ご無沙汰してます！」

「そうか。すごく大きくなったな」

対して驚きもせず、シグさんはアルの鎧の頭を撫で始めた。頭を撫でられたアルはどことなく嬉しそうな様子でほわほわとしている。うちの弟かわいい。

「急にどうした」

「師匠に教えてもらいたい事があって…」

それを聞いたシグさんは、身に着けていたエプロンを脱ぐと、メイスンに店を任せた。きっと師匠を呼びに行ってくれるのだろう。

「師匠の身体の具合は？」

「そこそこ元気だが、まぁ病弱には変わりないな」

店の裏へ私達を案内しながら、シグさんは開放されていた窓へ肘を着いた。

「おいイズミ。エルリックのチビ共が来たぞ」

シグさんの呼びかけに中から聞きなれた声が反応を返す。

「エドとAとアルが？」

「起きれるか？」

「大丈夫。今日は少し体調がいいから」

師匠具合悪かったのか…
師匠の支度ができるまで、私達兄弟はぼそぼそと会話をする。しばらくすると、扉の向こうからぱたぱたと何かが迫ってくる音が聞こえてきた。

嫌な予感が……

＿＿＿＿＿瞬間、扉のすぐそばに立っていたエドが勢いよく吹っ飛んだ。

「ぎゃあああぁあぁあああああぁぁぁ！！」

地面を舗装していたタイルの破片と土埃を舞わせながら数メートル先の壁へエドが突っ込む。
そんな様子を、私とアルはあわあわと震えながら傍観する。恐る恐る扉の方向を見ると、扉が軋む音を立てながらゆっくりと“彼女”が姿を現した。

「おまえの噂はここまでよ～～～～～～～～～く届いてるぞこの馬鹿弟子が。軍の狗に成り下がったって？ああ？」

特徴的なドレッドヘアを揺らしながら、師匠はエドを睨みつけた。