【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅲ (ページ31)

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＿＿＿脳天を突かれるような激痛に意識が引き戻された。

思わず背中を反らせ、激痛を訴える右目を両手で押しつぶすように抑える。指の間からは熱い液体がせわしなく流れ続けている。

熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い

焼ける。焼けるような痛みだ。あまりにも容赦のない痛みに絶叫する。左目からは右目とは別の体液が流れ出る。両目から、滝のように体液が流れ出ていた。

『フーッ、フーッ』

腕を噛んで痛みを逃がす。ぷつ、と腕から鮮血が流れ出た。体のあちこちから体液が流れ出る光景に、一周回って笑いそうになる。

そうやってしばらく激痛と格闘していると、徐々に周りの状況を把握できるほどの余裕が生まれた。減ってしまった視界をなんとか凝らし辺りを見渡す。

床には自分が流した鮮血とは別の血痕が辺りに散乱しており、綺麗だったフローリングを残酷に汚していた。錬成陣の中心に目をやれば、おかしな生物のようなものが息絶えている。

そんなことはどうでもいい。とにかく兄を、弟を探さなければ。

震える膝を叩き、無理やり立ち上がる。そしてもう一度よく辺りを見渡すと、部屋の端に何かがうごめいているのが見えた。

『兄さん…？アル…？』

部屋の端へゆっくり足を動かす。

＿＿＿そこに転がっていたのは、四肢のうち二本を失い血まみれになった兄と、ゆらりと今にも動き出そうとしている鎧だった。

『ひっ……』

咄嗟に軽くなった兄を抱えて鎧から距離を取る。エドの血に塗れることも構いなしに、抜けそうになる腰をなんとか奮い立たせて外へ飛び出そうとした。

「待って！」

その、Aの逃走を止めたのは、聞き慣れた可愛らしい声。愛しい弟の声。

『ア、ル……？』

エドを腕の中にしっかりと抱えたまま暗闇の部屋を振り返る。いつも間にか至近距離まで迫っていた鋼鉄の鎧はAの腕の中で意識を失っている兄を引き剥がすと、“アル”の声で叫んだ。

「姉さん！今はいいからとにかく兄さんの止血を！！このままじゃ兄さんが死んじゃう！」

『あ……』

自分は今、ちゃんと呼吸が出来ているだろうか。エドをアルへ任せ、無心で包帯を戸棚から引っ張り出す。
エドを手当しているアルの光景を、まるで額縁越しに観ているような感覚に陥る。視野が狭くなり、世界から色が消えていく。

どうしてこうなったのだろう。今朝まで3人とも本当に幸せだったのに。何を間違えてしまったのだろうか。

私には、分からない。