【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅲ (ページ22)

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「じゃあ…あんたは何をしたいの」

『＿＿＿』

その質問に、エドとアルの喉が僅かに上下する。Aは一体何が目的なのか、彼女の血縁である2人の兄弟にも見当がつかない。それ故に、エドとアルは黙ってAの言葉を待った。

『＿＿＿果たさなきゃいけない事があるんです。それは錬金術の腕前を上げないと叶えられない』

薄桃色の唇から紡がれた答えは、エドとアルでさえ一度も聞いたことが無い話だった。

“果たさなければいけない事”

それを聞いて、イズミは少しの間Aの金色の瞳をじっと見つめる。Aの瞳は宝石のように綺麗な金色＿＿だが、今の彼女の瞳には光が灯っていない。

それに気がついたのか否か、イズミは顔を不愉快に歪めた。

「気に入らない目だ…………が、いい。あんたも来なさい。あの2人とは別の意味で頑固そうだしね」

『ありがとうございます』

もう彼女を止めようとする気力はエドとアルに無かった。仮に全力で阻止しようとしてもAは首を縦に振らないだろう。

そもそも止めることなんて出来ない。Aの据わった瞳がそうさせないのだ。

何を考えているのか分からない、見た事も無い表情をするAに、エドとアルはただ黙って彼女とイズミのやり取りを傍観する事しか出来なかった。

***

＿＿＿“ダブリス”へ到着した一行は、慣れない暑さに疲弊しつつも、やっと錬金術を学べると内心和気藹々としていた。

「うへ〜〜」

「さすがに南部は暑いね兄さん…姉さん…」

『そうだなぁ』

そんな心中を持ちながらも、エドとアルはAの様子を度々恐る恐る伺う。成行きで一緒に来てしまった姉だが、正直兄と弟は気が気ではなかった。

今のAは初めて来たダブリスの気候や街並みに興味津々な様で、当たりをくるくると見渡している。現時点では特にAに変わった様子は無さそうだった。

それにしても暑い。こんなときはそう＿＿＿

「水浴びしたいな…」

「いいねぇ水浴び！行こうじゃないの」

ここで予想外の人物からの提案。イズミは上着を片腕に引っ掛けると、「ついてこい」という意を込めた目線をエド達へ向ける。

そうして辿り着いたのは見渡す限りの青い＿＿＿広大な湖だった。その湖には草木が青々と生い茂る孤島がぽつんと浮いている。

「湖！」

『湖！！』

「でかっ！」

綺麗な冷気を纏う湖に近付きたくなるのはやはり子供心というものか。ちゃぷ、という音と共に手を付ける。