【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅲ (ページ21)

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「錬金術の腕前を上げて何をしたいのあんた達は！」

人差し指を突き出し、イズミは眉間に深いシワを作りながら鋭い質問をエドとアルに突き刺す。

その質問に2人は＿＿特にアルが動揺を見せた。ピナコの隣で何とも言えない表情をしながら立ち尽くすAをほんの一瞬目にし、アルは助けを求めるようにエドを見る。

「ひ…人の役二立ちたい！！」

「…………両親の許可は？」

そのアルの視線に応えるように、必死の形相でエドは叫んだ。そんなエドの答えを耳にしたイズミは、目を細め怪訝な面持ちで2つ目の質問を問う。

「ああイズミさん、今はあたしが保護者みたいなもんだけど……＿＿この子らには両親がいない」

＿＿意外な事に、その質問を破ったのはエドとアルでは無く、それまで傍観していたピナコだった。その答えを聞いたイズミは、先程までの覇気を引っ込め「あ…」と気まづそうな様子で呟く。

そしてその場にしばらくの間沈黙が続くと＿＿＿＿＿

「……………………………どうにも弱いね」

と、後頭部を雑に掻きながら、ドレッドヘアの女性は小さくため息を着いた。エドとアルの心臓が、緊張と不安で大きく跳ねる。

「１ヶ月！とりあえず１ヶ月だけ仮修業って事でこの子達を私に預けてくれますか？本当に錬金術を教えるに値するか……この子達の才能を見極めさせてください」

「もし才能無しと判断したら？」

「すぐここに帰します」

金髪金眼の2人の少年の肩に手を置いて、イズミはピナコに許可を求めた。ピナコはその問を、煙管を咥えながら黙って聞いている。エドとアルは、そのピナコの態度が“YES”だという事を知っていた。

「あの……それで仮修業に合格したら……」

「そのまま本格的に修業、だね」

最後までイズミの意思を聞き終えたエドは、絶対に合格する覚悟を決め拳を固く握り締める。

「ばっちゃん！！オレ達、１ヶ月じゃ帰ってこないから！」

「＿＿言うと思ったよ」

その揺るがない大きな決意を感じ取ったピナコは、諦めた様子でため息を着き出発の準備に取り掛かろうと＿＿

『あの』

＿＿ちょうどその時、凛とした通る声がその場を制した。
その温度の無い、しかし妙に説得力のある声色にエドとアルの背筋が固くなる。
ピナコとウィンリィの隣から、イズミの前に割って出たのは栗色の髪が特徴的な少女だ。

『私も行きます』

「…言っとくけど、兄弟の子守りが目的なら帰りな」

『そんなんじゃないです』

少女の声は妙に温度が低く、落ち着いていた。