【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅲ (ページ13)

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「エド、おまえは軍の狗でいて良かったと思った事はあるか？」

その師匠の尋問とも取れる問に、エドは八の字に眉を顰める。しかし、情けなく眉を顰めたのもつかの間、エドは拳を握りしめると、真っ直ぐ師匠の背に視線を合わせた。

「いつ…人間兵器として招集されて人の命を奪う事になるか分からなくて…怖いです。

それでも、成し遂げなければならない事があります」

『＿＿。』

不覚にも、少しカッコイイと思ってしまった。
仮に私が国家錬金術師だったとして、エドのようにハッキリと覚悟を決められるだろうか。
久しくお目にかかれなかった兄の威厳を見せつけられた気がする。

自然と口元が綻び＿＿＿＿＿＿＿そうだったその時、

「がっ？！」

鈍い音と短い悲鳴と共に、エドの身体が軽く吹っ飛んだ。

「『兄さん？！』」

「師匠の教えを破っといて粋がるんじゃないよこのガキ！」

師匠の蹴りだ。しかもかなり強烈な。
地面で力無くへばっているエドを尻目に、今度は縮こまっている私とアルへ師匠は視線を移した。

「アル、その鎧の中空っぽだな」

「!!」

「エドも機械鎧だろう。Aは言わずもがなだな、その右眼」

『……』

「気付かないと思ったか。私をなめるなバカ者」

呆れた様子でため息をつく師匠。サンダルをペタペタと踏みしめながら近付いてきた彼女は、有無を言わせない形相でこう告げる。

「何があった。全て話せ」