【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅱ (ページ7)

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少し炭臭い匂いが鼻を刺激したかと思うと、目の前にボロボロに焼け落ちた建物の残骸が広がっていた。

私達はあまりの光景に絶句し建物の前で佇む。
言いづらそうな表情で少尉は話を続けた。

「…つい先日、不審火によって中の蔵書ごと全焼してしまいました」

『そんな…』

俯いて立ち尽くすエドとアル。
そんな2人を見ていられなくて私は何か他に方法はないのかと少尉に縋り付くように尋ねた。

「＿＿＿そう、ですね。ダメ元で本館をあたってみましょう。今はそれしか出来る事はありません…」

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「ティム・マルコー…………」

縋り付くような思いで本館に飛び込んだ私達は、受付の女性にマルコー氏の研究資料がないかを尋ねている。
分厚い冊子を捲りながら目を動かす司書さんだったが、眉を潜めながら彼女は私達へ視線を移した。

「えーと……やっぱり目録に載ってませんね。本館も分館も新しく入ったものは必ずチェックして目録に記しますからね。ここに無いって事は、そんな資料は存在しないか、あっても先日の火災で消失したって事でしょう」

司書さんから返ってきたのは非情な答え。
ショックからなのか、膝を着いたエドには女性の後半の話は耳に入っていないようだった。

「どうもお世話になりました…」

と、ふらふらした足取りで本館の出口を目指すエドとアル。私も司書さんへ軽く頭を下げた後、駆け足で2人を追おうとすると、司書の女性とは別の声の主が心当たりのあるように「あ！」と声を発した。

「シェスカなら知ってるかも。ほら、この前まで第一分館にいた…」

「ああ！」

『！第一分館の蔵書に詳しい方がいるんですか？！』

「ええ、詳しいって言うか…あれは文字通り“本の虫”ね。会ってみる？」

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ゴンゴン、と軍曹がある一軒家の扉を叩いた。
その一軒家は先程司書さんから教えてもらった“シェスカ”という人物の住処なのだが、不思議な事に軍曹が何度扉を叩いても誰も出てこないのだ。

「留守ですかね？」

「明かりがついてるからいると思うけど」

痺れを切らした軍曹は、「失礼します」と一言だけ言って鍵のかかっていない扉をゆっくりと開いた。

そして扉の向こうに広がっていたのは＿＿＿＿＿

「うわっ、なんだこの本の山！！」

「本当に人が住んでるんですかここ！？」

何百何千冊と積まれ置かれた本の山脈だった。