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「Aだって…毎晩言ってたのよ…“私のせいであの2人はこんな事をしちゃったんだ”って…“2人の役に立ちたい”って…そんな責任感の強い2人が大切な弟を騙す訳がないでしょ！！」
一際大きい音が、耳に響いた。
「……追っかけなさい」
ウィンリィが涙目で病室の扉を指差す。
いつの間にかアルとの距離が近付いていた私は、一呼吸し改めてアルに向き直る。
『…行こう、アル』
「…………うん」
私はアルに手を貸して立ち上がらせ、床に座り込んでいるウィンリィを見下ろす。ウィンリィは私を見つめ、乱暴に涙を拭っていた。
『ありがとうウィンリィ。私、あの2人になんて言葉をかけていいのか分からなかったんだ。ウィンリィのおかげだよ』
「……お礼なんていいわよ。それよりも早くアルを連れてエドを追っかけなさい。アルはAをおぶってでも行って！駆け足！」
「は、はいっ！」
ウィンリィの気迫に押されたのか、アルは上手く走れない私を背におぶると、早足で病室を飛び出した。
***
院内の人に聞き廻りながら、私達はやっとエドがいる場所を特定した。アルの背におぶられながら階段を上がり、突き当たりの扉を開けると、眩しい光が隻眼を差す。
扉の向こうにあったのは―――屋上だ。
洗濯物などが干されている広々とした屋上の柵に、束ねた金髪を風に揺らす人物が1人。
「……………」
アルは話しかけずらそうに自身のつま先を見つめている。すると、意を決したように顔を上げ私を背から下ろした。
「…………兄「そういえば」
エドがアルの言葉を遮る。
すると、エドは何を思ったのか、おもむろにスリッパを足から投げ出した。
「しばらく組手やってないから体がなまってきたな」
「へ？」
『いやいや兄さん、まだ傷塞がってないのに何言っ……』
―――瞬間、アルの脇腹をエドの蹴りが掠めた。
「わぁ！？」
突然の攻撃にアルの反応が遅れていても、エドの動きは止まる様子が無かった。
アルはエドの攻撃を防ぎながら必死に戦うのを止めるよう声を掛けていたが、一向にエドの拳が止まる気配が無い。
流石にこれは良くないな。私の傷口も開く可能性があるが、これは止めなければ。
『ちょ、兄さん怪我まだ治ってないんだから！！戦うの一旦やめろって！』
そう言ってエドの背後から腕をがっしり拘束してみたが、それはエドの回し蹴りによって無意味に終わってしまう。
『おわっ？！』
顔面に足が直撃しそうになったのを間一髪で避ける。
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年2月20日 1時
