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「ねぇ兄さん、アルフォンス・エルリックという人間が本当に存在したって証明はどうやって！？」
『…ア、ル』
「そうだよ…ウィンリィもばっちゃんも……姉さんも、皆でボクを騙してるって事もあり得るじゃないか！！どうなんだよ兄さん！！」
ガンッ、と食器を乗せていた机を、エドは拳で叩いた。フォークを床に落とし、エドは机を見つめたまま動かない。
「―――ずっと、それを溜め込んできたのか？」
「…」
「言いたい事はそれで全部か」
アルはエドの問に、カシャンと頭を動かした。
その音を聞いたエドは、少しの間俯いて黙り込む。
「―――そうか」
俯きっぱなしのエドの顔はこちらからは見えない。
エドはゆっくりとベッドから立ち上がると、そのまま病室を出て行ってしまった。
「エドっ…！」
そんなエドを、ウィンリィは追いかけようとしてくれている。病室の外では一部始終を見ていたであろう中佐達が棒立ちしていた。
―――あんなに憔悴しきったエドも、激昂したアルを見たのも初めてだ。あまりの事に、私は2人に何も声を掛けることが出来なかった。
「……カ…」
俯いて黙り込んでいると、ふと耳にウィンリィの小さな声が掠める。
顔を上げて様子を見てみると――――ウィンリィは大きなスパナをアルに振りかざしていた。
『？！ウィ―――』
「バカーーーーーっっ！！」
ごわん、と鈍い音が病室に鳴り響いた。頭をスパナで殴られたアルは、唐突なウィンリィの奇行に尻もちを着いている。鎧をぐらぐら揺らしながらアルは混乱していた。
「いっ…いきなりなんだよ！！」
叫ぶアルに、ウィンリィは肩を上下させながら呼吸を荒らげている。すると、一瞬動きが止まったかと思えば、彼女の瞳からダムが決壊したように涙がボロボロと零れ落ちた。
「ウッ…ウィンリ……「アルのバカちん！！」
「い"っ」
ウィンリィはもう一度アルにスパナを振り下ろした。私はその状況を、目を丸くして見ている事しか出来ていない。
「エドの気持ちも知らないで！！エドが怖くて言えなかった事ってのはね……」
『！』
「―――アルとAがエドを恨んでるんじゃないかって事よ！！」
―――。
「それを…それなのにあんたはっ…」
尻を着いているアルに、ウィンリィはスパナをガンガン叩きつけながら話を続ける。
「自分の命を捨てる覚悟で偽物の弟を作るバカがどこの世界にいるってのよ！！」
金属がぶつかり合う音が室内に響く。
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年2月20日 1時
