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「…冗談じゃねぇ！！義手また壊したらウィンリィにぶっ殺されるじゃねーか！！」
48の攻撃を機械鎧で受け止めながら、エドは叫んだ。―――相手の攻撃が押している。加勢した方がいいのだろうが、下手に入れば足手まといになりかねない。
そんな事を考えていると、エドが48の攻撃を義手で弾き飛ばし、私の方へ視線を送った。
「A！今だ、頭を突け！」
『ッ！！』
エドの叫びに私の意識よりも、身体が先に反応した。私の脚は咄嗟に走り出し、一気に48との間合いを詰める。48もやっと私の存在に気が付いた様だったが一足遅かった。
「む……！」
こちらへ向く刃先を飛び台にし、私は思うままに飛躍する。マチェーテを頭部の鎧の隙間へ狙いを定め、あとは身体へコントロールを預けた。
―――ガコッ、とマチェーテが鎧の内部の壁に当たった音がした。
『………は？』
この感覚は―――。
そう気を取られていると、いつの間にか胴体へ刀の峰の部分が迫ってきていることに気が付く。……脇腹に峰が食い込む様な圧迫感が襲った。
『ぁがッ』
気が付くと、私は部屋の隅にある柱へ軽くくい込んでいた。脇腹に激痛が走る。斬られたわけでは無いが、峰打ちでここまでの威力が出せるとは思ってもみなかった。
「A！！」
「ほう、まだ生きていたか」
『………っ、あんたさ、もしかして』
こちらへ歩みを進める48を睨みながら私は言葉を発する。
『その中、空っぽだろ』
「―――見事だ、よく気がついた」
『そりゃ、マチェーテ鎧の中にぶち込んだんだから分かるよ……―――それに、あんたと似たような人としょっちゅう手合わせしてるからな』
「ほう、表の世界にも私と同じのがいるのか」
悠長に話す48に痺れを切らしたらしいエドが、隙だらけのように見える鎧の男に飛びかかった。しかし、その攻撃も無慈悲に遮られる。
「まあ待て小僧。話の途中にトドメを刺すなどと無礼なことはしない」
「……どうだかな」
エドは48を避けながら私の方へ駆け寄ると、優しく身体を抱き起こした。「起きれるか？」と声を掛け、心配そうにこちらを見つめてくる兄。
幸い、脇腹の痛みは引いてきている。まだ、戦える。
「―――あらためて名乗ろう、私の“48”は死刑囚ナンバー…生前、と言うべきか。生身の身体があった時は“スライサー”と巷で呼ばれていた殺人鬼だ。表向きには2年前に死刑になった事にされている」
エドの肩を借り、私は重い体に鞭打って立ち上がる。
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年2月20日 1時
