【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅱ (ページ19)

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「それまで少尉と軍曹はこの事は他言無用！エルリック兄弟は大人しくしているのだぞ！！」

「『「ええ！？」』」

……おっと、つい本音が。
少佐は目を見開くと、ズカズカと大きな歩幅で私達との距離をグッと詰めた。

「むう！！さてはおまえ達！！この建物に忍び込んで中を調べようとか思っておったな！？」

何も言い返せない。図星だ。
少佐は表情を般若の様に歪め、私達をその巨体から見下ろす。あまりの迫力にいつもは軽口を叩くエドでさえ尻込みするほどだ。

「ならんぞ！！元の身体に戻る方法がそこにあるかもしれんとは言え、子供がそのような危険な事をしてはならん！！」

「わかったわかった！！そんな危ない事しないよ」

「ボク達、少佐の報告を大人しく待ちます」

『兄と弟の手綱は私が握っておくので安心してください』

***

「―――なんつってな」

足音を出来るだけ殺しながら、街灯の明かりに照らされる薄暗い夜道を私達は進んでいた。今、私達3人は早速と言わんばかりに少佐との約束を破り第五研究所へと向かっている。

私は本気で言っていたが、兄と弟はそうでは無かったらしい。最初は止めようとしたが、エドの「オレ達の責任で元の身体に戻る方法をみつけなきゃならねーよ」という言葉に絆され、結局着いてきてしまっていた。

「ふーん…使ってない建物に門番ねぇ…」

そんなこんなしているうちに、もう第五研究所の近くまで迫ってきていたようだ。研究所を囲む壁の死角に入り、私達は正門の様子を伺う。
門番の人数は1人。強行突破が出来ない訳でもないが、中に何人いるかまだ不透明な為下手に動くことが出来ない。

「入口作っちまおうか？」

『それやると光でバレるでしょ』

「……となると…」

エドは自分の倍にもなる高い壁を見上げる。
そうして、エドはアルに視線を送り、私の肩を小突いた。

「オレが先に壁登って有刺鉄線取り除くから、終わったら次Aが登ってくれ」

『了解』

エドはそう言うと、中腰で手を腰より下に組み待機していたアルの掌に片足を掛け、アルは腕を思い切り振り上げた。掌に足を掛けていたエドは高く飛躍し、そのまま有刺鉄線のある壁の上へ着地する。

「おわっ」

『大丈夫？』

「ああ、すぐ有刺鉄線取るから待ってろ」

エドはくるくると螺旋状に曲がっていた線を真っ直ぐに引き伸ばし、有刺鉄線の一部をアルの方へ伸ばした。アルは身体が大きいので、この降ろした鉄線で登れという考えなのだろう。