【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅱ (ページ17)

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怪力によって無惨にも切り離されたドアノブを持ちながら少佐がズカズカと室内へ入ってきた。

「聞いたぞエドワード・エルリック！！なんたる悲劇！！賢者の石にそのようなおそるべき秘密が隠されていようとは！！」

少尉か軍曹が口を滑らせてしまったのだろう。ドン引きする私達を前に、少佐は滝のように涙を流しながら熱弁し始める。

「しかもその地獄の研究が軍の下の機関で行われていたとするならば、これは由々しき事態である！！我輩だまって見過ごす訳にはいかん！！」

エドは何故少佐が賢者の石の情報を知っているのかを察したのか、額に青筋を浮かべながら少尉達にガンを飛ばす。
少尉は目を逸らし、軍曹は泣きながら目を吊り上げるエドへ謝罪する。

涙を拭くために腕で目をゴシゴシと擦った軍曹は、ふとエドの右腕へ視線を逸らした。

「右手、義手だったんですか」

「あ、ああ…えーと、東部の内乱の時にちょっとね……」

『そうそう！それで元の身体に戻るのに石が必要で…』

突然触れられた義手についての話題に慌てながらも私達は必死に誤魔化した。
その理由に納得してくれたのか、軍曹は同情するかのような表情で眉を下げる。

「そうですか…それがあんな事になってしまって残念ですね」

「真実は時として残酷なものよ」

「―――――」

――――少佐の独り言にエドが反応する。
何かを思いついた、もしくは思い出したかのような顔をしたエドに私はどうしたのかと尋ねた。

「マルコーさんの言葉覚えてるか？」

『え？』

「ほら、駅で言ってただろ―――――――――“真実の奥の更なる真実”……」

顎に手を当てながら私達にそう伝えるエド。
確かに、今思い返してみると確かにマルコー氏はそんな事を言っていた。

「そうか…まだ何かあるんだ…何か……」

***

バサッと少佐は机を覆ってしまう程の大きさの地図を広げる。私達はエドが気付いた“真実の奥の更なる真実”の手がかりを探す為に模索していた。

軍の下で研究が行われていたのなら、調べを入れる標的は研究所に絞る事が出来る。少佐は中央市内を示した地図上にある４ヶ所の研究所を指し示した。

「４ヶ所ある研究所の内、ドクター・マルコーが所属していたのは第三研究所。ここが一番怪しいな」

「うーん…市内の研究所はオレが国家資格をとってすぐに全部回ってみたけど、ここはそんなにたいした研究はしてなかったような……」

そう言いかけたエドは、一瞬大きく目を見開くと地図上のある建物へと興味を向けた。