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「さあ、どうぞこちらへ」
案内役の男性に教会の奥へ案内され、私達は大きな扉の前まで来た。
「教主様は忙しい身でなかなか時間が取れないのですがあなた方は運がいい」
そう言われ中へ通される。
後ろで扉が閉まる音が聞こえた。
「わるいね。なるべく長話しないようにするからさ」
「___ええ、すぐ終わらせてしまいましょう。このように!」
瞬間、男は懐から銃を取り出した。そしてアルの鎧の頭部へ銃の先端をねじ込むと、そのままバンッと1発発砲する。
『!!!』
カランと頭部の鎧が床へ転がる。胴体は力なく地面へ倒れた。
私とエドが動こうとすると周りにいた他の男達に取り押さられる。
「師兄!何をなさるのですか!!」
「ロゼ、この者達は教主様を陥れようとする異教徒だ。悪なのだよ」
「そんな!だからと言ってこんな事を教主様がお許しになるはず…」
「教主様がお許しになられたのだ!教主様の御言葉は我らが神の御言葉…これは神の意志だ!!」
男は吐き捨てるようにロゼに言うと、手に持った銃をエドに突きつける。
「へー」
男の動きが止まる。
「ひどい神もいたもんだ」
「んな……ッ」
アルの胴体の鎧が男の腕を抑えた。
それを合図にして、一気にエドと私は周りの男達に反撃を仕掛ける。
アルは殴り、エドは投げ飛ばし、私は膝で頭を突いた。
悲鳴をあげて逃げる残りの男へエドはアルの頭を投げた。ガィンッと、無事頭にアルの鎧がヒットした男はその場に倒れ込んだ。
「ストライク!」
「ボクの頭!」
『拾ってこい!』
そんな会話を繰り広げていると、次はロゼが騒ぎ出した。
「どどどどうなって…」
ロゼは半狂乱になりながらアルの空っぽの鎧を指さしている。
「どうもこうも」
「こういう事で」
エドがアルの鎧をカンカンと叩きながらロゼへアルの鎧の中を見せつけた。
「なっ…中身が無い…空っぽ…!?」
「これはね、人として侵してはならない神の聖域とやらに踏み込んだ罪とかいうやつさ
ボクも、姉さんも、兄さんもね」
「エドワードとお姉さん…も?」
「ま、その話はおいといて…神様の正体見たり、だな」
ロゼは食いつくように反論する。
「そんな!何かの間違いよ!!」
「あーもーこのねぇちゃんはここまでされてまだペテン教主を信じるかね」
エドは心底腹ただしいように扉へ向かう。
「__ロゼ、真実を見る勇気はあるかい?」
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作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時