・ ページ49
「…ったく、なんなんだあの狂暴女は!!」
芝生に腰を下ろし、たんこぶを作った頭でエドは不貞腐れていた。
アルと私は笑いながら自分達の兄の様子を笑う。
「何を今さら」
『まあウィンリィだからね』
エドは気に入らないといった様子で私達を睨むと、心を落ち着かせるように一息ついて芝生に寝転んだ。
その金色の瞳で空を眺めるエドは、つまらなさそうに口を尖らせた。
「はー…3日か…………とりあえずやる事が無いとなると本当にヒマだな」
『ココ最近大変な事しか無かったし、こういうのもたまにはいいんじゃない?』
「〜〜〜〜〜〜ヒマなのは性に合わねぇ!!」
片腕をぶんぶんと振りながら駄々っ子のようにエドは声をあげる。一応私達より年上のはずなのに全く落ち着きのない兄を見て、アルと私は顔を見合わせ苦笑いをこぼした。
すると、アルは何か思いついたように鎧を揺らすとエドへ1つ提案をし始める。
「そうだ、そんなにヒマなら母さんの墓参りに行っといでよ」
『あ、私も行きたい』
「墓参りか…でもおまえらそんなナリじゃ行けないじゃん」
「少佐にかついで行ってもらうのも悪いからボクは留守番してるよ」
『私は行くよ。怪我してんのは頭と腕だけで脚にはなんも異常ないし。機械鎧が直ったらすぐ中央に行くんだろ?だったらヒマな内に行こうよ』
私の言葉に、アルもうんうんと頷いた。
私達の様子に納得したのか、エドは「そーだな…」とよろめきながら立ち上がる。
「ちょこっと行って来るか…」
________________
__________
_______
No side
太い腕を振り上げ力のままに振り下ろす。
大きな亀裂音と共に拳で破壊されたのはマキだ。
いくつかのマキを素手で割り終わったあと、少佐は室内にいたピナコの方へマキ割りを終えた事を報告した。
「マキ割り終わりましたぞピナコ殿」
「ああ、すまないね」
「____そういえばエドワード・エルリックとA・エルリックの姿が見えませんな」
「母親の墓参りだとさ」
機械鎧の部品をいじりながらピナコは答える。
その言葉に少佐は困った様子で眉間に皺を寄せた。
「護衛無しで出歩くのは危険だといっておるのに……!」
「かかか!大丈夫だよ」
笑いながらピナコは言った。
「……それより少佐、あの子らは毎日平穏無事に過ごしているだろうか。なんせこんな田舎だ。都会の情報はあまり入って来ないしあの子らもあの子らで手紙のひとつもよこさないからあたしゃ心配でね」
64人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時