【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 (ページ46)

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あの後、私達は交渉する訳でもなくマルコー氏の言うことに従い大人しく駅に戻っている。
駅のベンチに座り汽車を待っていると、少佐がエドに話しかけてきた。

「本当にいいのか？」

「え？」

「資料は見れなかったが石ならば力ずくで取り上げる事もできたろうに」

「あ〜〜〜のどから手が出る位欲しかったよマジで！！……でもマルコーさんの家に行く途中で会った人達の事を思い出したらさ…この町の人達の支えを奪ってまで元の身体に戻っても、後味悪いだけだなーって。また別の方法さがすさ、な」

「うん」

『そうだねぇ……って、兄さんあれ』

隣にいるエドへ肯定の言葉を喋ろうとした時、駅の入口から見覚えのある人物が走ってきているのが見えた。
手に封筒を持ちながら息荒くこちらへ駆け寄る老人は紛れもなくマルコー氏だ。

『マルコーさん！』

「……私の研究資料が隠してある場所だ」

白い封筒をエドに差し出しながらマルコー氏はそう言った。

「真実を知っても後悔しないと言うならこれを見なさい。そして君ならば真実の奥の更なる真実に＿＿＿＿＿＿＿＿いや、これは余計だな」

何かを言いかけた途中、マルコー氏は眉を顰めながら首を振る。
彼は私達に背を向けて駅の出口へ向かい、健闘を祈るかのように手を挙げた。

「君達が元の身体に戻れる日が来るのを祈っておるよ」

その言葉を最後に立ち去るマルコー氏の背中に向かって、私達は深々と頭を下げた。
彼が立ち去ったり汽車に乗った後、エドは嬉しそうに封筒から一枚の紙を取り出す。

その紙には、「国立中央図書館第一分館、ティム・マルコー」とだけ書いてあった。
その文章を後ろから覗いていた少佐は、ポツリと呟く。

「なるほど、“木を隠すには森”か…あそこの蔵書量は半端ではないからな」

「ここに石の手掛りがある……！！」

『やっと一歩近付けた＿＿！』

「＿＿＿ああ！」

私はエドと顔を見合わせ笑いながら、本来の目的地へ改めて道を歩き出した。