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「む?降りるのはリゼンブールという町ではなかったのか?」
「そういう研究をしてた人なら生体錬成について知ってるかもしれない!アルと荷物降ろさないと!早く!」
『あーもう!!いっつも突っ走りやがってー!』
状況はよく分からなかったが、エドの話に“生体錬成”という単語が出ていたことから今からそれに関与している事をしに行くのだろう。
私達は羊臭くなっているアルを降ろしながら街で人探しを始めた。“ドクター・マルコー”という人物を探せばいいらしい。
「こういうご老人が通りませんでしたかな?」
「…ああ、マウロ先生!」
「知ってる知ってる!」
少佐が描いたドクター・マルコーの似顔絵を使ってしばらく探していると、心当たりがあるという男性2人組に出会った。
マウロ?マルコーでは無いのか…?
「マウロ?」
「この町は見ての通りみんなビンボーでさ。医者にかかる金も無いけど先生はそれでもいいって言ってくれるんだ」
「いい人だよ!」
「絶対助からないと思った患者も見捨てないで看てくれるよな」
その“マウロ”という医者の話に反応して、やいのやいのと通行人が集まってくる。みんな口を揃えてマウロはいい人だと言っていた。
「おお、オレが耕運機に足を巻き込まれて死にそうになった時もきれいに治してくれたさぁ!!」
「治療中にこう…ぱっと光ったかと思うともう治っちゃうのよ」
『光…』
「うむ、おそらく錬金術だ____そうか、偽名を使ってこんな田舎に隠れ住んでいたのか」
「でも、なんで逃げたんだ?」
「ドクターが行方不明になった時に極秘重要資料も消えたそうだ。ドクターが持ち逃げしたともっぱらのうわさだった…我々を機関の回し者と思ったのかもしれん」
町の人達に案内されながら私達はドクター・マルコーが営んでいるであろう建物の前までやってきた。
先頭にいたエドは先行して階段を上りドアノブを引く。
「こんにち…」
『…ッ兄さん!』
扉の向こうで銃口がキラリと光った。
次の瞬間、ドンと発砲音が辺りに響く。
間一髪でエドは弾丸を避け、地面へ尻もちをついた。
「何しに来た!!」
震える手で銃を構えながらドクター・マルコーは叫ぶ。
「落ち着いてくださいドクター」
「私を連れ戻しに来たのか!?もうあそこには戻りたくない!おねがいだ!かんべんしてくれ……!」
「違います、話を聞いてください」
「じゃあ口封じに殺しに来たか?!」
「まずはその銃をおろし…「だまされんぞ!!」
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作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時