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第8話 希望の道 ページ42

コンコンと汽車の窓を叩く音がした。
窓の外に目をやると、1人の軍人が顔を覗かせているのが見える。


「ヒューズ中佐!」

「よっ、司令部の奴らやっぱり忙しくて来れないってよ。代わりに俺が見送りだ____そうそう、ロイから伝言を預かって来た」

「大佐から?」

「“事後処理が面倒だから私の管轄内で死ぬ事は許さん”以上」

「“了解、絶対てめーより先に死にませんクソ大佐”って伝えといて」


相変わらずの犬猿っぷりに私は思わず笑いをこぼした。


「あっはっは!憎まれっ子世にはばかるってな!おめーもロイの野郎も長生きすんぜ!嬢ちゃんもその怪我ちゃんと治せよ!」

『あ、はい!』

「じゃ、道中気をつけてな。中央によることがあれば声かけろや?」


頭にピシッと手を当て敬礼する中佐に、私達もつられて敬礼を返した。
それと同時に汽車が動き出す。

感じ慣れた汽車の揺れに眠気を感じながら私は外を眺めた。


「我輩は機械鎧の整備師とやらを見るのは初めてだ」

「正確には外科医で義肢装具師で機械鎧調整師かな。昔からのなじみで安くしてくれるし、いい仕事するよ」


重い瞼を徐々に降ろして行きながら、まだ冴えている耳で2人の会話を聞く。


「その整備師のいるリゼンブールとはどんな所だ?」

「すっげー田舎。なんも無いよ…つーか東部の内乱のせいでなんも無くなっちゃったんだけどね。軍がもっとしっかししてりゃにぎやかな町になってただろうなぁ」

「…耳が痛いな」

「そりゃいい。もっと言ってやろうか……ま、本当静かな所でさ。何も無いけど都会には無いものがいっぱいある




それがオレ達3人兄弟の故郷、リゼンブール」








___________________
_____________
_________










「ドクター・マルコー!!」

『んがッ?!』


いつの間にか眠ってしまっていたようで、私は突然の少佐の大声におかしな声を上げて飛び起きた。


「ドクター・マルコーではありませんか?!中央のアレックス・ルイ・アームストロングであります!」


少佐は窓の外へ誰かの名を叫びながら必死な様子で喋っている。


「あ…!」

「知り合いかよ」

「うむ…中央の錬金術研究機関にいたかなりやり手の錬金術師だ。錬金術を医療に応用する研究に携わっていたがあの内乱の後行方不明になっていた」

「____降りよう!ほら、A起きろ!」

『え、ちょ、兄さん何が起きてんのか分からないんだけど?!』

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作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時

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