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「…やるしかねぇ……ってか」
エドが隣の壁から大きな刃物を錬成するのを合図に、私とアルも戦闘態勢に入る。
男が「いい度胸だ…」と不気味に笑うと、私達は一斉に男に飛びかかった。
アルは男の頭へ拳を叩き込もうとしたがあっさりかわされ、エドは刃物を突き立てようとしたがそれもかわされる。私は男の膝を割ろうと下から攻撃したが、太腿で受け止められダメージを分散させられた。
次は男の反撃だ。腕を振り上げていた為に脇腹に隙が出来ていたアルは、男の手によって脇腹部分の鎧を破壊されてしまった。
「……!!」
『「アルッ!!」』
アルは鎧が大破した為にバランスがとれなくなってしまった為、そのまま戦闘不能になってしまった。
地面に倒れる弟を見て、エドと私は食いつくように男へ攻撃を仕掛ける。
「遅いと言っている!」
男に腕を掴まれてしまったエドだったが、機械鎧の腕だったので戦闘不能にならずにすんでいた。が、男の変成反応で身体を弾かれ、エドは数m先に吹っ飛んだ。
「機械鎧…なるほど、“人体破壊”では壊せぬはずだ」
『ッあああああ!!』
エドが体制を整えている間に、私は男へ攻撃を仕掛ける。持ち前の跳躍力で男の後ろに瞬時に移動し、頭部を地面へ叩きつけようと男の頭を掴もうとしたが、それは男の高い蹴りによって実行する事が出来なかった。
かなり強い蹴りが腕に直撃し、私はエドよりも遠くに吹っ飛んでしまう。瓦礫に背中を強打し、一瞬呼吸を忘れた。これは…腕、折れたかな。
「殺すつもりで蹴り飛ばしたが……頑丈な女だ。あっちはあっちで鎧をはがしてから中身を破壊してやろうと思ったが肝心の中身が無い。変わった奴らよ…おかげで余計な時間をくってしまったではないか」
「てめぇの予定につきあってやる程お人好しじゃないんだよ!」
体制を立て直したエドは、機械鎧を鋭い刃物に変形させ男を睨んだ。私は揺らぐ視界を無理やり直しながら、男の方向に改めて身体を向ける。
「兄さん、姉さん…ダメだ。逃げた方が…」
「馬鹿野郎!!おまえ置いて逃げられっか!!」
『その通りだ!アルを置いて逃げれるわけが無い…!』
「ふむ…両の手を合わせる事で輪を作り循環させた力をもって錬成する訳か______ならば」
「ら"あああああああああッ!!!」
ドンッ、と地面を蹴った音が響いた。
何が起こった。男とエドの動きがピタリと止まっている。いや、正確にはエドの動きが男によって“止められている”と言うべきか。
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作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時