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『え?』
母にがしっと肩を掴まれる。
「あなたがあの二人に寂しい思いをさせたから____お母さんを作ろうだなんて考えだしたのよ?あなたがもっとちゃんとしていれば
あんなことにはならなかったのに」
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重い瞼が一瞬で開かれた。
ガバッと上体を起こすと、私の身体は汗で僅かに濡れていてかつ息も荒いことが分かる。
上手く呼吸が出来なかった。
「A?」
「姉さん?」
聞きなれた声に名前を呼ばれる。
目線の先には心配そうな顔をしているエドとアルの姿があった。そうだ、ここは軍の仮眠室______台所なんかじゃない。
『……ごめん、大丈夫、ちょっと悪い夢を見ただけだよ』
「……そうか」
私は笑顔を作りながら栗色の長髪を触った。
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諸々身支度をすませたあと、私達は軍の大佐がいる個室へ向かった。
しかし、中々扉を開ける気にはなれない。それはエドもアルも同じようで、扉の前でソワソワしている事しか出来なかった。
そんな事をしていると、ガチャ、という音と共に部屋の扉が開いた。
中から顔を出したのは金髪の女性____ホークアイ中尉だ。
「あ…ホークアイ中尉」
「どうしたの、こんな朝早くから」
「あ…あのさ」
エドは言いづらそうに目を伏せる。
「タッカーと…ニーナはどうなるの?」
中尉は険しい表情で少し黙ると、ゆっくりと口を開いた。
「タッカー氏は資格剥奪の上、中央で裁判にかけられる予定だったけど_______
二人とも死んだわ」
背筋が冷たくなるのを感じた。
「正式に言えば“殺された”のよ。黙っていてもいつかあなた達も知る事になるだろうから教えておくわね」
「そんな…なんで…誰に!!」
「わからないわ。私もこれから現場に行くところなのよ」
「オレも連れてってよ!」
「ダメよ」
「どうして!!」
「________見ない方がいい」
中尉の警告に、エドの口が噤む。
____私は目を伏せ、悔しさに唇を噛むことしかできなかった。
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作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時