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〘あらら、反抗する気満々?残念。交渉決裂〙
そう言うと、エドは車両の壁へ水道管を錬成し始めた。
〘人質のみなさんは物陰に伏せてくださいねー〙
ぐりん、とエドが蛇口を捻った。
瞬間、車内からとんでもない水音と共に犯行グループ達の悲鳴が響きわたった。
『おー、まさか本当に上手くいくとは』
「よしA!アルのとこに戻るぞ!」
先頭を走り始めるエドを追う形で私はアルの待つ車両へと急いで向かった。
走っている最中にも車両からは水の流れる音がしている。かなりの水量を放流したのだろう。
___少ししてアルの待つ車両へと着いた私達は、車両の天井を開き、エドが先に車内へ飛び降りた。
飛び降りた先には、アルと犯行グループ____そして、リーダーらしき男の姿があった。
リーダーの男の腕は機械鎧で出来ている。その様子を私は空いた天井から覗き見る形で観戦していた。
「おっ、機械鎧仲間?」
不敵な笑みを浮かべながら自身の機械鎧を刃物のように鋭く錬成するエド。敵側の正体が子供だった事に気が付いたからか、リーダーの男は激怒しながらエドへ機械鎧を向けた。
____が、
「なんだ、安物使ってんな」
エドの斬撃によって容易に刃が通ってしまったリーダーの機械鎧。
彼の動きが止まったことを合図に、私とアルも男へ攻撃を仕掛ける。
エドは機械鎧を切り裂き、アルは頭を殴打し、私は鳩尾に踵を落として、この戦いは終わりを迎えた。
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「やあ、鋼の」
無事犯行グループを拘束し駅へ到着した私達は、聞き覚えのある声に歩みを止める。
その声を聞いた瞬間、エドの表情が一気に険しくなったのが分かった。
「あれ、大佐こんにちは」
『こんにちは』
「…なんだね君だけその嫌そうな顔は」
「くあ〜〜〜〜〜〜大佐の管轄ならほっときゃよかった!!」
大佐がそう言ったあと、エドは心底不快だというように声を荒らげた。いつもの大佐嫌い発動である。
そんなエドの様子を横目に、大佐は私達兄弟の姿を一慶すると目を細めて言った。
「まだ元に戻れてはいないんだね」
「文献とか調べてるけどなかなかね…今は東部の街をしらみ潰しに探し歩いてんだけど、いい方法はまだ見つからないな」
「噂は聞いてるよ。あちこちで色々とやらかしてるそうじゃないか」
バレた、とでも言いたげにエドは表情を固くする。
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作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時