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第4話 車上の戦い ページ23

アルフォンスside



中央行きの汽車に眠っている兄と姉と乗っている途中、突然大きな物音が車内に響き渡った。
ここの車両ではない、別の車両からの音だろう。

少しすると、別車両を繋ぐ扉から数名の銃器を所持した男達が入ってきた。
乗客達は少しパニックになりながらも冷静で、いわゆる“テロ集団”の指示に大人しく従っている。

しかしそんな騒がしい中、まだ二人緊張感のない乗客がいた。


「……この状況でよく寝てられんなガキ達」


案の定目を付けられてしまった兄と姉。
男は兄の頬に銃口をつきつける起こし始める。


「おい!起きろコラ!」


しかし全く起きる気配のない兄と姉。
兄はともかく姉はボク以外が無理やり起こそうとすると大変機嫌が悪くなってしまうので正直あまり大きな音を立てて欲しくない。


「ちっとは人質らしくしねぇかこの……チビ!!」

「(あっ)」


その言葉を聞いたのか、兄はくわっと目を見開き瞬時に身体を起こした。額には青筋が浮かんでおり、心做しか禍々しいオーラを感じる。


「なんだ、文句あんのか?おう?」


すると兄は向けられた銃口を両手で挟んだかと思うと、光を点滅させながら銃口をラッパのような形に錬成した。
男が状況を飲み込めていない隙に、兄は顔面に1発蹴りを入れる。ぐきっという鈍い音と共に、銃を持った男は地面に転がった。


「(あーあ…姉さん起きちゃうよ)」


隣で眉間に皺を寄せながら寝ている姉の肩をそっと揺らしながら起床を催促していると、目を離しているうちに兄は別の男にまた銃口を向けられていた。


「逆らう者がいれば容赦するなと言われている。こんな“おチビ”さんを撃つのは気が引けるが……」


流石にまずいなと思い、ボクは今この瞬間引き金を引こうとしていた男の手をぱしっと上へあげた。
なるべく穏便に済まそうと思っていたが、それは兄の鋭い蹴りによって阻止されてしまう。

兄の飛び蹴りを顔面で受け止めた男は、先程兄の逆鱗にも触れてしまっていたため、更に酷い暴行を受けていた。


「兄さん兄さん、それ以上やったら死んじゃうって」


ボクの言葉でやっと正気を取り戻したのか、兄の一方的な暴行はやんだ。兄は自分がボコボコにした相手を見ながら不思議そうな表情をしている。


「……て言うかこいつら誰?」

「(チビって単語に無意識に反応してただけか…)」


兄に諸々説明したあと、男達を縛り上げ身動きを取れないよう拘束した。


「あ、姉さん起こさないと」

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作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時

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