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「錬金術師殿、これはいったいどういう事か!!」
炭鉱夫達が喜んでいる最中、突然扉が勢いよく開いた。何が喚きながら真っ青な顔で室内へズカズカ入ってきたのは他でもない、ヨキ中尉だ。
「これはこれは中尉殿。ちょうど今権利書をここの親方に売ったところで」
「なんですとー?!…いやそれよりも!あなたにいただいた金塊が全部石くれになっておりましたぞ!どういう事か説明してください!」
おや。いつの間に石くれに戻してたんだか。
やはりエドは悪どい事をする。
「…いつ元に戻したの」
「さっき出がけにちょろっと」
『さすがというべきかなんて言うべきか…』
私とアルは呆れながらニヤニヤ笑う自分達の兄を見つめた。
「金塊なんて知りませーん♪」
「とぼけないでいただきたい!金の山と権利書を引き換えたではありませんか!これではサギだ!」
「あれ?権利書は無償で譲り受けたんですけどね。ほら、念書もありますし」
ペラリと念書を取り出し中尉につきつける。
その念書を見た中尉は更に焦りを露にした。
「ぬぐぐ…この取引は無効だ!おまえ達!権利書を取り返………せ?!」
中尉が部下に命令しようとした瞬間、中尉の目の前に炭鉱夫の巨体が立ち塞がった。
丸太のような腕の厳つい炭鉱夫に圧倒され、中尉達は声を発することが出来なくなってきる。
「力ずくで個人の資産を取り上げようだなんていかんですなぁ」
「これって職権乱用ってやつか?」
「う、うるさい、どけ貴様ら!怪我したくなかったらさっさと…「「炭鉱マンの体力なめてもらっちゃ困るよ中尉殿」」
手をゴキゴキ鳴らしながら中尉達に詰め寄る炭鉱夫達。数人の巨体相手に勝てるはずもなく、ヨキの部下達は瞬時に殲滅された。
あと再起不能になっていないのは中尉ただ1人。今までの仕打ちも兼ねて、炭鉱夫達の目はギラギラしている。
「あ、そうだ中尉。中尉の無能っぷりは上の方にきちんと話通しときますんで!そこんとこよろしく♡」
エドがその言葉で締めくくると、炭鉱夫達は一斉に歓声を上げた。「酒持ってこーい!!」と嬉しさのあまり酒を飲もうとしている輩もいる。
中にはエドに酒をぶっかけ無理やり飲ませようとしていた。
『……これにて解決、でいいんだよな?』
「そうだね。きっと後は炭鉱の人達が何とかやってくれるよ。今はとりあえず兄さんにお酒を飲ませようとする人達をとめないと」
『ふは、そうだな!』
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作者名:はちまき | 作成日時:2022年2月10日 12時