・ ページ20
「“錬金術師よ、大衆のためにあれ”……か？」
パチン、とカヤルの手をエドははらう。
「ここでオレが金を出したとしてもどうせすぐ税金に持っていかれて終わりだ。あんたらのその場しのぎに使われちゃこっちもたまったもんじゃねー」
服を整えながらエドは炭鉱夫達に背を向けた。
「そんなに困ってるならこの街出て違う職さがせよ」
「小僧、おまえにゃわからんだろうな
炭鉱が俺たちの家で、棺桶よ」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「兄さん待ってよ！」
ガシャンガシャンと鎧を揺らしながらエドへ追いつこうとするアルの後ろを走りながら私もアルと同じく困った表情をしていた。
「本当にあの人達放っておく気…「アル、A」
『？』
「このボタ山、どれくらいあると思う？」
「…1トンか…2トンくらいあるんじゃない？」
トロッコに乗せられている大量のボタ山を見てエドがアルに問いかけた。
するとエドは何を考えているのか「よいしょ」と、トロッコの中へ乗り込んだ。
「よーし今からちょいと法に触れる事するけどおまえら見て見ぬふりしろ」
「へ？！」
『えっ、兄さん？！』
「…それって共犯者になれって事？」
「ダメか？」
『はは、ダメって言ったってやるんだろ？』
「ねー」
「なぁに、バレなきゃいいんだよバレなきゃ」
そう言ってエドは掌をパチンと打ち付け、ボタ山にバシッと両手をついた。
眩しい光が点滅し反射的に目をぎゅっと瞑る。相変わらず変成反応というのは派手なものだ。
「やれやれ、悪い兄を持つと苦労する…ね？姉さん」
『そうだなー弟よ…ま、嫌いじゃないけどね』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「…………あの…」
「炭鉱の経営権を丸ごと売って欲しいって言ってるんだけど」
私達は今、中尉がいる宿泊施設に来ている。
目の前にはヨキと部下たち。そして私たちの後ろには＿＿＿＿＿＿
大量の金。
「足りませんかねぇ？」
『(相変わらず白々しい！)』
「めめめ滅相もない！！」
ヨキはこぼれ落ちそうなほど頬を緩ませている。
エドはというと気持ち悪いくらい綺麗な微笑みを中尉に向けている。
「これだけあればこんな田舎におさらばして…それから…」
「ああ、中尉の事は上の方の知人にきちんと話を通しておいてあげましょう」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はちまき | 作成日時：2022年2月10日 12時
