第3話 炭鉱の街 ページ16
「なんか…炭鉱っていうともう少し活気あるもんだと思ってたけど…」
「みなさんお疲れっぽい…あ、姉さーんもう目的地着いたからそろそろ起きて」
パカっという音と共に上から光が射し込む。
『…あー、なんか狭いなと思ったら私アルの鎧の中入れられてたのか。人の扱い雑くない？』
「姉さん何回起こしても起きないんだもん」
そーかそーかと言いながら、私はアルの鎧からひょいっと出してもらった。エドはその様子を見ながら「相変わらずだなおまえは…」と呆れながら笑っている。
すると突然ゴッという鈍い音と共にエドが地面へしりをついた。見れば炭鉱の少年が運んでいた木材に頭をぶつけてしまったらしい。
「いてーなこの…」
「お！！何？観光？どこから来たの？メシは？宿は決まってる？」
「あ、いや、ちょっと…」
『(おー、兄さんが珍しく押されてる…)』
「親父！客だ！」
「人の話聞けよ！！」
少年が大声で父親らしき人物に叫んだ。
「あー？なんだってカヤル」
「客！金ヅル！」
「金ヅルってなんだよ！！」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
場面は変わって今私達は少年＿＿＿カヤルに案内された酒場にいる。
ここは炭鉱で働いている人達がよく行く常連店らしく、カヤルの父親が経営しているらしい。
「いやホコリっぽくってすまねぇな。炭鉱の給料が少ないんで店と二足のワラジって訳よ」
「何言ってんでえ親方！その少ない給料を困ってる奴にすぐ分けちまうくせによ！」
「奥さんもそりゃ泣くぜ！」
「うるせぇや！！文句あんなら酒代のツケさっさと払え！！」
わははははと笑い声の響く店内。少し年季は入っているがとても暖かい店だ。
すると奥さんらしき店員さんがこちらに近付いてきた。
「えーと、一泊二食の三人分ね」
「いくら？」
エドのセリフを聞いた親方がニヤニヤしながら食いつく。
「高ぇぞ？」
「ご心配なく。けっこう持ってるから」
「30万！」
ガンッ、と床に転がる音と机に頭を打ち付ける音が響いた。あまりの高さに頭を打ち付けてしまった。エドは床に転がっている。
「ぼったくりもいいトコじゃねえかよ！！」
「だから言っただろ高いって。めったに来ない観光客にはしっかり金を落としてってもらわねえとな」
「冗談じゃない！他あたる！」
しかしエドの逃亡も虚しく、炭鉱で鍛え上げられた腕力によって頭を鷲掴みにされ失敗に終わった。
「あきらめな兄ちゃん。よそも同じ値段だよ」
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年2月10日 12時
