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「さっきの話だけどまだ信じられない。そうまでしないと錬成できないなんて…」
「言ったろ。錬金術の基本は“等価交換”って」
私は自身の眉間にしわが寄るのを感じながらアルに続いて語った。
『何かを得ようとするならそれなりの代価を払わなければいけない。兄さんも“天才”だなんて言われてるけど、“努力”という代価を払ったからこそ今の兄さんがるんだ』
「でも、そこまでの犠牲を払ったからにはお母さんはちゃんと…」
私とアルは顔を見合わせ困ったように俯く。
「人の形をしていなかった」
「…！！」
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「そんな…なんで！！兄さんの理論は完璧だったはずだ！！」
「ああ、理論上では間違っちゃいなかった…間違ってたのは
オレ達だ…」
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「人体錬成は諦めたけど、それでも兄さんはボクの身体と姉さんの右目だけでも元に戻そうとしてくれてる。ボクだって兄さんと巻き込んじゃった姉さんを戻してやりたい」
『巻き込んだとか思わないでくれ、アル。私の監督不足だったんだ…兄さんとアルに寂しい思いをさせたから…』
「そんな…ッ！姉さんは何も………姉さんは一番何もしてないのに…」
『……とにかくロゼ、こういう事なんだ。人間を錬成するってことは。だから＿＿＿＿君はこっちに来ちゃいけない』
「…ッ！」
＿＿＿＿＿酷く落ち込んだ様子のアルの身体を擦りながら、何とか気を取り直したアルと私で作業を終わらせる事が出来た。
『さてと、あとは私は用済みだね。よし、アル任せた！』
「了解、姉さん！」
アルはそう言って鐘を肩に担ぎあげると、タイミング良く鐘から放送が流れてきた。
コードを伝って鐘から聞こえてくるのは、あの教主の声だ。それも信者達に対する罵詈雑言だ。
それが鐘をスピーカー代わりとして街に大音量で流れている。何と滑稽な事だろう。
教主はやっと放送が流れていることに気が付いたらしく、エドの大層機嫌が良さそうな声と共に、教主の怒声が街に響き渡った。
『うはっ、兄さんの作戦大成功って訳か！こりゃ傑作だね！！へっへっはっ！』
あまりの教主の慌てっぷりに笑いが止まらなくなってしまったが、それはアルの叱り声と共に止むこととなった。
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「ハンパ物？」
「ああ、とんだ無駄足だ」
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年2月10日 12時
