･ごめん,好きな人 ページ24
･
夏休みも終わり賑やかな教室で1人,窓から外を眺めていた。
『ずっと前から好きだ』
頭の中で響くこの言葉に俺は何と言ったのか…
思い返せばあまりにも酷い言葉を発していたのだ。
雪「夕神くん…大丈夫？」
心配そうに覗き込む雪菜に,何事もなかったように軽く笑った。
"これくらいの演技はさせてくれ"
ーーーー
その日からの部活は散々だった。全く役になりきれず部員に迷惑をかけた挙げ句,練習から外された…
自分の私情で演技に影響する事は今までなかった。
舞台から降りた自分は,惨めな姿だった。
そんな俺はただ,自分とは違う部員の演技を眺めている事しか出来なくなっていた…
寮に帰り自室のベッドで台本を眺めていた。
今回は他人に興味を示さない王子役で,他の国の王子とある国の姫を取り合い,結婚するまでの話。
姫は,可愛いがお節介で少しうるさい所が目立つ変わった設定になっている。
孝「そんな姫に何でこの王子は,惹かれていくんだ？」
他人に興味がない…昔の俺と同じだ。
舞台に興味を持ち始めてから,少しずつだが他人に興味を持った。
見ているのが好きになっていた。
ふと姫を誰かに重ねようとしていた。
その方が分かりやすい…だからーー
『孝ー!!何してんのー？』
『なぁなぁ!!俺の演奏聴きたくない？』
『孝の部屋,勝手に掃除しちゃったw』
お節介でうるさい…"友也"と同じだ。
始めはただの同室者としか思っていなかった。
無邪気な子供みたいに遊んだりふざけている友也を,いつからか俺は…
孝「……っ!!」
頬に何かが伝って開いていた台本の上に落ちた…
"何で泣いているんだ？"
答えは分かっているはずだ。それでも自問自答をするしかなかった。
答えをポツリと零すと,自然と気持ちが軽くなった。
告白される前から"友也の事が好きだった"
でもこれは,俺の一方的な感情であって友也に言ってはいけないと決めつけていた…
"付き合いたいと思っていた"
惹かれ合う"何か"を持っている人を,好きになるのは当然だ。
俺にはないものを持っている友也を,いつしか羨ましいと思ってしまったのが全ての始まり。
次第に湧いたいくつかの感情が,ゆっくりと時間をかけて"好き"になっていた。
素直になるのが怖かった。
離れてほしくなかった。
もう…あの顔は見たくない。
ごめん,俺の好きな人。
ごめん,俺が愛してしまった人。
"こんな(不器用な)俺を好きになってくれてありがとう"
今度は俺の番だ。
今度は俺が君に告白するから…
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B民(プロフ) - 中途半端な愛さん» コメントありがとうございます,今後の2人の展開を楽しみにしていてください♪ (2019年2月3日 1時) (
レス) id: 572b3d69bd (このIDを非表示/違反報告)
中途半端な愛 - 夏月たちがどうなるのか気になります！ 読んでいて感情を揺さぶられる作品で、、、最高です。最高。 更新頑張ってください！ (2019年2月2日 23時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：B民 | 作成日時：2018年7月24日 20時
