･ありがとう,好きな人 ページ23
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音楽室から空を眺めていると,海外に行っているある男を思い出していた。
夏休みに入ってすぐ,孝は演劇の勉強をしにイギリスに短期留学へ行った。
丁度孝の帰ってくる日は,近くの神社で行われる夏祭りに俺達軽音楽部が参加させてもらえることになっている。
孝に逢いたいという気持ち僅かに抑えながら,俺達は練習を再開した。
ーーーー
夏祭り当日の神社には大勢の人で賑わっており,
興奮すると同時に不安に満ちていた。
控室には春やゆっきー,紅葉やなっちゃんが来てくれたが未だ孝の姿だけがなかった。
電話に出なければ,返信も来ない…
"何してんだよ…孝のバカ"
控室から出た俺は,孝を探しに神社周辺から隈なく探していた。
だがそれでも見つからず時間が刻々と迫り,諦めて控室に帰ろうとしたその時,後ろから聞こえてくる足音に振り返った。
見た瞬間,俺は直ぐさま駆け寄って抱きしめた。
友「孝ー!!」
孝「遅くなってすまなかったな…友也」
初めて抱きしめた温もりは,今まで感じた事のない気持ちだった…
それと同時に胸が死ぬほど騒ぎ出し,それを聞かれまいと直ぐに距離を取った。
"もう少し感じていたかった…な"
平常心を装って孝に質問攻めにしたりと,普段と何ら変わらぬ"2人だけの空間"になっていた。
この時間が永遠に続けばいいと,孝もきっとそう思っているはず…
"想い違いにはさせないで"
友「孝…俺さ,ずっと言いたい事があって…」
視線を合わせるのが怖い。
静かに俺の言葉を待つ孝は今,どんな気持ちなのだろう…
友「…俺,ずっと前からお前の事が好きだ!!」
…ずっと隠していた気持ちを,やっと伝える事が出来た。
俺が孝に対するこの気持ちはきっと"恋だ"
"それ以外は考えられない"
恥ずかしさで視線を地面に向けていると,ゆっくりと近づく音がする…
震える手が頬に添えられ顔を上げられると,目の前に優しく微笑み姿がそこにはあった。
…期待していた,そこに"嘘"はないと信じていた。
だから俺はその場から逃げ出した。
誰もいない場所で顔を手で覆い,気持ちを落ち着かせようとしていた。
でも…
友「んっ…っ…うわぁぁぁ!!」
…恥ずかしげもなく大声で泣き,胸が苦しくなり更には吐き気を感じる。
この状態で尚,少し前の出来事を鮮明に思い出せてしまう事が辛かった…
孝「……友也の気持ちは正直嬉しい,…でも俺は友也を"友達以上として見ることは出来ない"」
孝の言葉がいつまでも俺の頭の中で,ガンガンと跳ね返り残響した…
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B民(プロフ) - 中途半端な愛さん» コメントありがとうございます,今後の2人の展開を楽しみにしていてください♪ (2019年2月3日 1時) (
レス) id: 572b3d69bd (このIDを非表示/違反報告)
中途半端な愛 - 夏月たちがどうなるのか気になります！ 読んでいて感情を揺さぶられる作品で、、、最高です。最高。 更新頑張ってください！ (2019年2月2日 23時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：B民 | 作成日時：2018年7月24日 20時
