･嘘ついてるのは ページ21
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某日,寮とは比べものにならない位の涼しさに隣にいるちっこい奴が大喜びしていた。
時間を区切って様々な場所を巡った後,日が暮れ始めたのを合図に予約した旅館へと向かった。
ーーーー
紅「わぁっ♪旅館からの景色きれいだなぁ」
子供のようにはしゃぐと,部屋の中を一通り確認し襖を開けると中から浴衣を取り出している。
紅「露天風呂あるから〜♪夕飯前に入っちゃお〜っと」
変な歌を歌う程ご機嫌なアイツは,俺の方をチラッと確認すると2人分の浴衣を持って近付いてくる。
紅「今日は特別に,一緒に入る事を許可してあげる♡」
腕を引かれそのまま露天風呂へと連行されると,
服を脱ぎ一緒に湯船へと浸かった。
疲れた身体を一気に包み込む温かさに,思わず変な声が出る。
その姿を面白そうに見ている隣の奴は,何を思ったのか俺の顔をまじまじと見てくる。
紅「夏月,メガネ無くていいの？」
夏「曇るからいらねぇ」
唐突な質問を投げかけられ,普段なら無視するが今日は仕方ないと思って答えた。
夏「視力が別に悪いわけでもねぇから」
分かりやすい位に頭の上に疑問符を並べ,更にどうでもいい質問が飛んでくる。
紅「えっ？じゃあ,何で普段付けてんの」
…今更昔のことを言ったところで,信じろとは言わない。
でも当時の俺にとってその言葉は,救いの言葉でもあった。
夏「…お前が言ったんだろ,目つきが悪いから眼鏡すれば少しはマシになるって」
本人は全く覚えがないようだ。
どうせお前には"思い出したくもない事なんだろうな"
あの頃はとてもーーー
紅「そんな昔の事を今だにやってるとか,夏月バカなの？」
刹那,自分の手が小さな首を掴んでいた。
俺にとって"楽しかった"あの頃を馬鹿にされ,あの頃から何もかも"変わってしまった"アイツの首はとても細かった…
夏「…てめぇに何が分かんだよ」
楽しかった日々を思い出しては,今自分の目の前にいる"別人"に怒りが込み上げていた。
夏「何で変わっちまったんだよ…"紅太郎"(こうたろう)」
本名を呼ばれた事に苛ついたのか,俺の事を突き飛ばすと早々と湯船から出て行った。
紅葉の本名は"秋風紅太郎"
小学生の頃は今とは違って男らしく,俺の憧れだった。
ここに入学するまで暫く逢えていなかった…
やっと逢えたかと思ったが,アイツには昔の面影などなくなっていた。
俺はただ知りたい。
お前を変えてしまったものを,全て無くして楽にさせたい。
だって俺は…
"あの頃のお前が好きだから"
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B民(プロフ) - 中途半端な愛さん» コメントありがとうございます,今後の2人の展開を楽しみにしていてください♪ (2019年2月3日 1時) (
レス) id: 572b3d69bd (このIDを非表示/違反報告)
中途半端な愛 - 夏月たちがどうなるのか気になります！ 読んでいて感情を揺さぶられる作品で、、、最高です。最高。 更新頑張ってください！ (2019年2月2日 23時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：B民 | 作成日時：2018年7月24日 20時
