･言葉にしないで ページ19
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夏休みに入ったある日,僕達はある場所へ向かっていた。
そこは寮に居るときよりも凉しく,夏だということを忘れさせてくれるような場所。
一通りの有名な観光地を訪れ,景色を眺めたり海産物を食べたりと楽しい1日を過ごした後,日が沈み始めた頃を合図にとある場所へ向かった。
ーーーー
ドアを開けると,僕達を出迎えてくれる姿に隣にいる君は少し驚いていた。
母「雪ちゃんお帰りなさい」
雪「ただいま,お母さん」
父「花宮君もようこそ我が家へ♪」
春「お邪魔します」
僕は春と一緒に実家に帰省していた。
前から北海道に旅行したいと言っていた春を,案内がてら家に泊まることを提案すると喜んで賛成してくれた。
夕飯を食べ,お風呂に入り暫くテレビを見ていると,身体を休めるよう母に言われた僕達は2階へと向かった。
雪「何も変わってないなぁ…」
殺風景な部屋は掃除されているのか,綺麗な状態を保っていた。
春の分であろう布団を敷き,とりあえず寝る支度だけは済ませると春の隣に座った。
"まだ寝るのには早過ぎる"
雪「観光どうだった？」
春「色々見たり食べたり出来て楽しかったよ♪」
普段と何ら変わらない姿を見ていると,途端に胸が締め付けられるように苦しくなる…
"君が紅葉とキスをした事を知っているよ"
時を刻む音に合わせて呼吸をする。
もし今,あの時のことを君に言ったらどんな顔をするのかな？
もし今,僕が君への気持ちを全て言えてしまったら…
もし言葉にしたなら……
"すべてが壊れてしまいそうで怖いよ"
春「…ゆき？」
雪「んっ,どうしたの春…」
心配そうな顔を近づけられると,反射的に顔を離していた。
如何にも警戒しているような態度に,春が少し近づくと僕は少し離れた。
春「雪…どうかした？」
優しく触れようとする手が今はとても残酷で,逃げるように部屋を出た。
リビングには明かりがついていて,その光に誘われるように入ると母と目があった。
母「どうしたの雪ちゃん…」
母の隣に座り俯いていると,何かを悟ったように背中を優しく撫でられる。
暫くそれが続くと落ち着きを取り戻し部屋へと戻ると,薄明かりの下で布団の中で眠る姿を見つけた。
雪「ごめんね…はる」
前髪を上げ,額にキスを落とし隣に敷かれた布団に入り目を閉じた。
僕の初恋相手が君でよかった…
身勝手な僕のお願いを,君じゃなくて夢が叶えてくれるなんてね…
絶対無理だって分かっていたのに…
"君から好きだと言われたかったな"
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B民(プロフ) - 中途半端な愛さん» コメントありがとうございます,今後の2人の展開を楽しみにしていてください♪ (2019年2月3日 1時) (
レス) id: 572b3d69bd (このIDを非表示/違反報告)
中途半端な愛 - 夏月たちがどうなるのか気になります！ 読んでいて感情を揺さぶられる作品で、、、最高です。最高。 更新頑張ってください！ (2019年2月2日 23時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：B民 | 作成日時：2018年7月24日 20時
