･雨が降った日には ページ15
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雨が降り続く外は灰色に染まっていた。
放課後,日直の僕は課題であるノートを持って廊下を歩いていた。
雪「うぅ…半分にして持ってくればよかったなぁ」
後悔しながらも歩いていると階段の近くで誰かとぶつかってしまい,案の定ノートは廊下に散らばってしまった…
雪「…ご,ごめんなさい」
？「そちらこそ大丈夫…って雪？」
雪「は,春!!」
ぶつかった人が先輩じゃなくてよかったと,安堵しつつ春に何度も頭を下げた。
春「この大量のノート1人で持っていくの？俺も手伝うよ」
雪「だ,大丈夫だよ」
春「雪が怪我したら困るから手伝うね」
散らばったノートを集めた春は,僕の半分以上を持ってくれた。
横を歩く彼を,僕は密かにじっと見つめていた。
ーーーー
雪「春,手伝ってくれてありがとう」
春「どういたしまして♪」
無事職員室まで届け終わると,春と一緒に寮まで帰ることになった。
雨音はさっきよりも"激しく"なっている様に感じた。
春「一緒に帰るの初めてだね」
雪「うん,何だか嬉しいな…」
春「俺も雪と一緒で嬉しいよ♪」
いつもと同じ帰り道のはずなのに,今日はなんだか特別な感じがしていた。
いつも1人だから,隣に誰かがいるだけでこんなにも安心感があって…
"ドキドキした"
春「あっ…紫陽花」
途中,道の側にあった紫陽花に近づく春の後ろを僕は追いかけていた。
紫陽花は春の背丈より,少し低めに咲いていた。
春「雨と紫陽花…やっばり綺麗だな」
雪「春は紫陽花が好き？」
春「花なら何でも好きかな」
花を見つめる春の目は,優しさそのものといった感じだった。
時折,紫陽花に触れた指が雨粒を擽っては落ちていった。
春「白い紫陽花の花言葉知ってる？」
花言葉にも詳しい春は,自慢気に問題を出すが僕は何も答えられずに首を横に振った。
春「"寛容",広く優しい心を意味するんだ」
雪「寛容…」
春「…雪と同じだね」
雪「えっ？そ…そんなことないよ」
笑いながら春は,白い紫陽花を1つ手渡した。
春「雪は優しい心の持ち主だよ。俺はーー」
雨音のせいなのか,それともわざと小さく言ったのか…僕には最後の方がよく聞き取れなかった。
白い紫陽花は,春の気持ちをそのまま投影しているかのように綺麗だった。
"春にこそこの花は似合うのに…"
その時の春の目は,何処か悲しそうだったのを僕は聞けなかった。
いつも助けてくれるのに,僕は何も返せていない…
白く美しい花とは裏腹に,僕の心はいつの間にか穢れてしまっていたようだ…
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B民(プロフ) - 中途半端な愛さん» コメントありがとうございます,今後の2人の展開を楽しみにしていてください♪ (2019年2月3日 1時) (
レス) id: 572b3d69bd (このIDを非表示/違反報告)
中途半端な愛 - 夏月たちがどうなるのか気になります！ 読んでいて感情を揺さぶられる作品で、、、最高です。最高。 更新頑張ってください！ (2019年2月2日 23時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：B民 | 作成日時：2018年7月24日 20時
