･僕の傍にいて ページ12
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ゆっくりとドアが開き鬼教官が入って来たかと思えば,その姿は鬼教官とは全く似つかない程に細身でスラッとしていた。
春「…驚かすなよ"孝太"」
孝「驚かすつもりはなかったんだ,ごめんな春一」
孝太は演劇部所属で,確か"声帯模写"が出来ると言っていた。
さっきまで考えていた事さえ忘れ,一気に身体の力が抜けていった。
そんな俺とは裏腹に,目を見開いた孝太は自分のジャージの上着を雪へと投げた。
孝「…早く雪菜を連れて行け,ここは俺がやっておく」
抱きしめる腕を強め,孝太から借りた上着で雪の姿を隠すと軽々と抱き抱え保健室へと向かう。
春「ありがとう孝太…」
孝太に感謝しながら,向かう足を一層速めた。
早く目を覚してくれ,雪…
ーーーー
どのくらい眠っていたのだろう…
瞼を開くとそこは独特な匂いに包まれ,何となく思い出したくない匂いと似ていた。
雪「……ここ,どこ？」
？「…っ雪‼」
名前を呼ばれ振り向くといきなり抱きしめられ,強過ぎる程の抱擁は苦しいけど嬉しかった…
？「…雪,よかった」
雪「…はる？」
目の前にいる春は,どこか悲しそうに僕を見ていた。
周りを見ると春のほかに,夕神くんと火野くんの姿もあった。
2人に声をかけようとしたが,静かに出て行ってしまった。
何故僕がここにいるのか,思い出そうとしても思い出せない…
思い出してはいけない…そんな感じがした。
ふと外から体育祭終了のアナウンスが聞こえてきた。
春「体育祭,終わったね…」
雪「…!!」
春の言葉で全て思い出してしまった…
あの時,僕はトイレで先輩達に…
雪「春ごめんね!!僕のせいで…本当にごめんなさい」
取り乱す僕を落ち着かせるべく,春は僕の手を握った。
春「雪は何も悪くない」
雪「僕が悪いの!!あんなに練習してくれたのに…僕のせいで…」
優勝出来るって,春となら大丈夫だって思っていたのに…
"それを僕が全て台無しにした"
子供のように泣く僕を,春は優しく抱きしめ背中を擦ると自然と落ち着きを取り戻した。
春「俺が傍にいるから…今はゆっくり眠って,全て忘れた方が楽になるよ」
横になると春はずっと僕の手を握っていた。
それは僕に安心感を与える為なのか,それとも何かを固く誓う為なのか…
ただ今は…
雪「ありがとう…春」
"君が傍にいることを確かめさせて"
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B民(プロフ) - 中途半端な愛さん» コメントありがとうございます,今後の2人の展開を楽しみにしていてください♪ (2019年2月3日 1時) (
レス) id: 572b3d69bd (このIDを非表示/違反報告)
中途半端な愛 - 夏月たちがどうなるのか気になります！ 読んでいて感情を揺さぶられる作品で、、、最高です。最高。 更新頑張ってください！ (2019年2月2日 23時) (レス) id: 55fb495860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：B民 | 作成日時：2018年7月24日 20時
