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☆お姉さん ページ7

なんとなく、家に帰りたくなくなって、塾の帰りに小さな公園のブランコでボーッとしていた。

何分かそうしていると、頭上から声が降ってきた。

「あれー?珍しい。こんな公園に人がいるなんて。」

びっくりして咄嗟に顔をあげると、ニコニコと綺麗なお姉さんがこちらを覗きこんでいた。

「そこはお姉さんの特等席だったんだけどなぁ」

どうやら暗にどけと言っているらしい。

帰っても良かったのだが、なんとなくこのお姉さんと話してみたい気がして、そのまま無言で隣に移動した。

お姉さんは一瞬、しまったと顔をしかめた。露骨に言い過ぎたと思ったらしい。

「お姉さんはここで何をしているの?」

自分のことは棚に上げてふと質問してみた。

お姉さんはちょっと驚いてそれから愛想よく笑った。

「別に何もしてないよ。ただなんとなく、ここが好きなだけ。」

そう言ってお姉さんはブランコをこぎ始めた。

立派な大人がそうしているとなんだかシュールだ。

「君はどうしてここにいるの?」

今度はお姉さんが聞いてきた。

「私も別に。今日はたまたま...。」

家にかえりたくなくなった。そんなことを言いそうになって飲み込んだ。

見知らぬお姉さんにそんなこと言ったってしょうがない。

「へぇー。」

なんだか意味ありげにお姉さんが呟いた。

「まぁ、君ぐらいの年なら色々あるのかなぁ。」

「別にそんなんじゃ...」

小さく反論して、さっきよりも強く地面を蹴る。

「そう?何かあるならお姉さんが聞いてあげるからね!」

今日会ったばかりのお姉さんに何を相談しろと言うのだ。私は苦笑いをこぼした。

そんな私の様子にお姉さんは声をあげて楽しそうに笑った。

薄くて赤い唇から軽やかな声が漏れる。前へ揺れる反動で長い髪が後ろになびく。

さっきはシュールだ、なんて思ったけどその動作はなんだかとても綺麗だった。

ふと、お姉さんがブランコを止めた。

「ねぇ。ほら見てごらん?」

そう言って、空を指差す。

言われた通りに上を向く。

___恐ろしく綺麗な空だった。

視界いっぱいに星が広がり、チカチカと瞬く。

「すごいでしょ?だからここが好きなの。」

ぼそりとお姉さんが呟いた。

「ほんとは私だけの秘密だったんだけど、今日から二人の秘密ね?」

いたずらっ子見たいにお姉さんが笑った。

何気なく立ち寄った公園は美しいものに溢れていた。

こういうの、運命って言うのかな?

お星さまに聞いてみたい。

二人の世界でそんなことを思った。

◇微睡みの六時間目→←□創造主(◇)



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作者名:ハル | 作成日時:2018年7月11日 23時

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