《ツイステ》記憶を取り戻した少女は歪んだ世界で何を思う《鬼滅の刃》 (ページ16)

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五十六話:物じゃないページ16

『つまり、ここは物語で、お遊びの世界だと？』

ﾕｳﾘ「えぇそうよ！ゲームはゲーム！全員、プログラムどおりに動いてればいいの！なのに、あんたが来たせいで....」

『ふざけているのか！』

怒りを顕にしたAに、ユウリはたじろいだ。

その声を聞き、他の生徒達が来る。

『つまり、ただ規則的にいればいいと？そんなふざけたこと、あって溜まるか！！』

ユウリの言葉を理解した今、Aは怒りで震えていた。

人がモノ？機械？規則(お話)に沿って動け？

『この世界に、絶対はない！だから、今、私はここにいる！何故、人の意思を無視できる！人の尊厳を貶めることが出来る！

自分が最も偉いと勘違いしているのか？オメでたい頭でなにより。生憎だが、ここは貴様ごときが頂点に立つことが可能な世界ではないぞ。

.......ふざけた妄言を吐き散らすな。失せろ、塵が。』

最後の一言が、ユウリの動きを止めた。

重くのしかかったその言葉は、Aの怒りが乗っていた。

怒鳴ったことで集まってきた生徒が、静まり返る。

全員がAに怯えていた。

幾度もの死線を乗り越え、たくさんの仲間を失い、たくさんの命を救い、たくさんの命を奪った。

そんなAの出す殺気と怒気に、生徒たちは、ディアソムニア寮の寮生でさえ、思わず身の毛がよだった。

一瞬悲しそうな顔をしたAは、どこかへ消えた。

？？「一体、何人を殺した。」

学園に、まだAが来たばかりの時。

Aは悲鳴嶼にも匹敵するほどの背の高い男子生徒に尋ねられた。

Aに染み込んだ血腥さと恨み辛み。そして、それをも超える感謝の念。

人の感情と強いつながりを持つ妖精族、しかもその時期王は、それらに敏感に反応した。

『.....累計討伐個体数、六百五十二人。私は、鬼狩りと称し、六百五十二人の命を奪った。』

無機質な声。

その淡々とした口調に、尋ねたマレウス・ドラコニアは何か恐怖を感じた。

しかし、危険な雰囲気はない。

その矛盾に疑問を持つも、マレウスはAにまた尋ねる。

ﾏﾚｳｽ「鬼狩りとはなんだ。何故、人を殺すことを辞めなかった。」

『....辞めれば被害が出る.....私は、命の価値を実感した.....鬼は悲しい生き物....狩らなければ被害は増えるばかり......だから倒した鬼の数と名前、血鬼術は覚えている.....』

儚げで、今にも消え入りそうなAは、いつの間にか夕日と共に消えていた。