花屋の店主は実は公安警察 5

190 ページ40

諸伏｢なあ、今度遊びに行かない？｣

話の空気を突き抜けるように諸伏さんが旅行の提案をしてきた。

降谷｢景…僕ら任務が立て込んでるんだが？｣

松田｢俺達もまあまあな中堅だから難しいぞ？｣

諸伏｢何とかなるだろう、零の権力と松田の…｣

松田｢何もないんかい！｣

テンポの良いやり取りを見て思わず笑ってしまう。

萩原｢Aちゃんは行きたい？｣

私は…。

A｢行きたい｣

決まりだねと諸伏さん。少しだけ話して夜11時に解散した。



翌日。
花屋の周りを掃除していると1人の男性が当たりを見回しながら立っているのを見つけた。

A｢お、おはようございます…風見さん｣

風見｢退院おめでとうございます…そしてご同行願えますか｣

はい？と首を傾げた瞬間に腕を掴まれてハイエースに乗せられた。
着替えていたから良かったものの、どこへ連れていかれるのか…。

風見｢ここからは被り物をして頂きます｣

A｢ちょっと！どこに行くんですか？｣

風見｢フルヤさんのところです｣

A｢降谷さん？わざわざ顔を隠す必要なくないですか？｣

昨日も会ったし。

風見｢あなたが彼と顔見知りなのは知っているが、これは決まりなんでね｣

渋々視界を奪われるとハイエースの走行音に耳を済ませた。音的に山道を走っているようだ。
しばらく揺られて車から降ろされ、数百m歩いた先で被り物から開放された。

風見｢ここからは1人であの建物まで行ってください｣

指さされたのは白い無機質な建物だった。
降谷さんが何故ここに？疑問は会ってから聞くことにしよう。

ピピピピピ。
降谷さんからの着信。

＜降谷｢A｣＞

A｢どういうことですか？変な山の中に連れられたんですけど…｣

＜降谷｢どういうことって…僕は指示していないが？｣＞

言われてみればあの風見と名乗る男の降谷さんを言うイントネーションがおかしかった。

＜降谷｢すぐ誰かを向かわせるから隠れてくれ｣＞

A｢難しそうです。至る所に感知センサーがあるみたいなので｣

あの建物に入れと言わんばかりの矢印と監視カメラもある。

＜降谷｢1ヶ月で色々鈍ったな。景が行けるはずだGPSはつけておいてくれ｣＞

A｢了解です｣

私は残り88%のスマホを省エネモードにしてGPSをONにした。
早朝で仕事着じゃない私は護身用のナイフと銃と弾6発のみのほぼ丸腰状態。

A｢病み上がりには辛いわね｣

＜降谷｢闘いは避けるように｣＞

A｢了解｣

191→←189

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す