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朝。
先に目が覚めたのは俺ですやすやと隣でAは寝ている。
寝ていたけどほんの少しだけで熱も薬が切れてから身体は夜よりしんどかった。

松田「夢で良かった」

熱が出た時はだいたい悪夢を見る。
Aを知らない世界に放り込まれる。夢を見ている時は夢だという事に気が付かない。

A「…どうしました?」

枕に顔を半分埋めながら片目で見つめられる。

A「私はここに居ますよー」

と頬に触れる。

松田「好きだ、お前のこと」

寝ぼけてる彼女に伝わったかはわからないけど、Aは「そっかぁ」と再び目を閉じた。
これで少しは意識してくれると嬉しいんだが。

ぼーっとAの寝顔を見つめているとスマホのアラームと共に彼女は起き上がった。

A「……病院」

ベッドから俺を起こさないように静かに出るとまっすぐキッチンへと向かった。
何やら準備して直ぐに戻ってきたら自分の額と俺の額に手を当てて熱を確認し始めた。

松田「……」

A「気分はどうですか?」

松田「ぼちぼちだ」

寝起きのAはいつもこんな感じなのか?テンション低めで落ち着いた振る舞いをする。
ただ機嫌が悪いだけか?

A「今日、松田さんの家に行ってから病院に向かいますので」

無造作に髪をまとめながら言う。
再びキッチンに行き、目の前に出されたお粥。

松田「ん…食べる」

すると口元にお粥が運ばれた。
ぼーっとする俺でもわかる…これはあーんだ。

松田「自分で食える」

A「病院混むんですよ?知ってます?」

調子狂うな。あの数時間の中で何があった?

松田「何かあったか?」

ピクっと肩を揺らす。なんかあったんだな。
嫌な夢か?

A「よくわかりましたね」

度々出てくるAの嫌な夢、嫌な予感。

松田「何年の付き合いだと思ってる?」

A「付き合ってない」

松田「そーゆー意味じゃねぇ」

伝わってなかったか…だいぶ俺にはダメージだ。
もう少し頑張れってことだよな?望むところだ。

松田「話せる時になったら話してくれ、今はまだ頭ん中で整理中だろ?」

俺はお粥のお椀を受け取ろうとすると断られた。

A「はい」

また口元にお粥が運ばれてきた。

A「長い付き合いなら食べてください」

「それか照れてるんですか?」

見透かされたように当てられ、挑発に腹立つが食べた。

松田「…うまい」

Aはにこりと微笑んだ。

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ナギ(プロフ) - 113の風見さんと景光のやりとりですが、風見さんは景光の上司なので風見さんがタメ語で景光が敬語ですよ! (2022年11月20日 21時) (レス) @page2 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kne.hrknt(ハル) | 作成日時:2022年6月8日 11時

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