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諸伏 side
目の前に両手を胸のあたりで重ねているA。
まだ包帯が巻かれているのを見るとぎゅっと辛くなる。
A「諸伏さん、声…」
彼女が治療している間、ダメと言われた発声を誰も居ないところでたくさん練習をした。出ないわけじゃない、パクパクと口を動かすだけで彼女を責める零を止められなかった先日のオレはもう居ない。
でもやっぱり自然に声は出なくて試しに録音した声は掠れて別人のよう。
それでも今にしたのは、自分の特別な日さえ忘れるほど自分にも鈍感な彼女の特別な人になりたいというオレの我儘。
A「……」
東京にこんな素敵な場所があるんだよ。
きっと何も意識してなかったんだろうな、とAの瞳は驚きで揺れていた。
諸伏「すき だ」
すぐに返事をとは思わない。ゆっくり考えて欲しい。
少しの沈黙の後、Aが口を開いた。
A「私も諸伏さんのこと…先輩として好きです」
これは想像以上に手強そうだ。
A「私ずっと悩んでいたんです、皆さん良くしてくれますけど女だし、去年くらいの爆弾事件で何も力になれなかったので」
嬉しいです。
その時オレはどうかしてしまったのか、きっともっと大胆になろう、回りくどいのはやめようと思ったからなのか。
怒ってはないけど衝動に駆られて、
A「きゃっ」
諸伏「オレの好きは こういう事だ よ」
腕をこちらに引き寄せて目が点になって固まるAをじっと見つめる。唇が触れそうな距離、そのまま奪っても良かったけど嫌われそうな気もしたから彼女の負傷した手に唇を落とした。
A「あ、え?」
混乱する彼女。
震える声でいつから?と聞かれる。
諸伏「もう5年くらい経つかな」
「A 受け 取って」
返事はいくらでも待つからと付け足して彼女に渡したのは誕生花と誕生石があしらわれたイヤリング。
諸伏「似合う」
A「……」
完全に思考停止したAをそのまま車に乗せてホテルに向かった。
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kne.hrknt(プロフ) - のらねこさん» コメントが遅くなりました!ありがとうございます🙂少しでも楽しんでいただけると嬉しいです!! (5月14日 21時) (レス) id: d39f522ad8 (このIDを非表示/違反報告)
のらねこ(プロフ) - ヒロ推しとしては、嬉しすぎます😭 (2023年5月5日 22時) (レス) id: cf3f9452bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kne.hrknt(ハル) | 作成日時:2023年5月4日 15時