only dreaming 2

33.Jun ページ33

｢A、A、A｣




真っ白な部屋の中で、何度も彼女の名前を呼ぶ




何度呼んでも返事はなくて、



どこを探しても、どんなに探しても



どこにもいない





｢……准一｣




振り返るけど、彼女の姿は見えなくて





｢A｣




もう一度彼女の名前を呼ぶ




｢准一｣




耳に届いたAの声




振り向くと笑う彼女がいて



手を伸ばすけど




掴めそうで、掴めない





｢……准一｣




もう一度、彼女の声がしたけど





もうその姿は、どこにもなかった……





悲しくて、苦しくて……





崩れ落ちる、俺




…………






…………………





｢……准一、准一｣




その声に、ハッとして



目を開けた




｢……どうしたの？大丈夫？｣




驚いたような顔をしたAが、俺を覗き込むように横に座ってた




｢………夢、か｣




ホッとして、Aを抱き寄せる




確かに感じる温もり




………捕まえたばかりの彼女のこと。




何に不安を感じてるのか、わかんないけど




変な、夢を見た。





ぎゅっと抱きしめる腕に力を込めると




｢どうしたの？｣




笑うA




｢ん？……わかんない｣





｢ふふ。｣




俺の腕の中で笑ってるA




もう一度、ホッとした

34.Jun→←32.Jun

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す