第十五話 ページ16
老婆の話はそれで終る。
その後三人はじばらくした後、話をしてくれた老婆に礼をしてその家を出た。
そのときの老婆は薄く微笑み見送ってくれた。
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その後三人はその山神とやらが封じられている祠へと向かうため、彼岸花を横目に森の方角へと足を進めた。
山の麓に着いた時、ばあ様に教わった道を地図で辿ると、整備された道からかけ離れ、ほぼ崖のような道をただ淡々と進んでいる事に気づいた。
三人は本当にこの道であっているのかと半信半疑長らも森に入る。
教えて貰った祠までの道は、昔は整備されていたそうだが、その影すら見せない道には岩が露わとなった岩肌や、苔が生えてぬかるんだ地面があり、それは三人の足を遅くした。
そして歩いてから、かなりの時間がたった後浅葱が歩みを遅めてぼやく。
「本当に祠へはつくんだろうな?全くそんな祠らしきものはないぞ」
浅葱そう言って初めて、紫月は気がついた。
確かに、かなりの距離を歩いた筈なのだが、一向に祠が見えないので、浅葱がそう疑うのも無理はない。
「薬売り様·····」
紫月はその事に対して、道を間違えたのでは無いかと尋ねるため薬売りに視線を向ける。
だが薬売りは返事もせずに只前方をジッと見つめていた。
紫月も思わず薬売りの視線の先に目を向ける。
そこには先程通り過ぎた、岩肌が剥き出しとなった道があった。
「あれは先程通り過ぎた道·····」
薬売りは確信したようにそう話した。
「これは···モノノ怪の仕業?」
「そのようですね」
気が付かない内にモノノ怪の領分に入っていた事に、紫月は驚きを感じた。
なら、今モノノ怪から見て我々が何処にいるかなど手に取るようにわかるという事だ。
危険は避けては通れないと、静かに息を呑む。
「なら、祠の山神がモノノ怪という事·····ですか?」
紫月は息を窄めてそう呟いた。
「その可能性が高くなりますね。」
薬売りは、ため息混じりに落ち着いた様子でそう口にした。
しかし、正体がわかった所でこの道の輪廻から抜け出せる術もなく困り果てていたその時、
森の奥の方から聞き覚えのない男の声が聞こえてきた。
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作者名:赤青ほととぎす/瑪瑙 x他1人 | 作者ホームページ:http
作成日時:2018年11月27日 22時