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視線を向ければカイとリヒトの姿があり、少なからず驚いた。
「やぁ、センセ♪ 助手ちゃんもー!」
「……先生……来た……」
「ごきげんよう」
「こんにちは」
二人の挨拶に答えれば、何故かブルーノが青ざめた。そのままビシッ、と指を立てる。
「二人とも! なんでししょ……先生に敬語を使わないんだ!?」
「えーいいじゃん。ブル兄ぃ、おかたーい」
「ししょ……ッ、先生を敬え! ししょ……先生が何も言わないからって!」
「さっきから、ししょししょなんなのブル兄ぃ?」
肩を掴まれたリヒトがきょとんとし、ハイネの肩を叩く。
「別にいいよね先生。俺達マブダチだもんねー?」
ハイネと肩を組むリヒトの言葉にブルーノが拳を握って震える。
次いで地の底を這うような低い呻き声が響いた。
「お前いつの間に……ッ! なんて失礼で羨ましくて羨ましい……羨ましい!!」
「え、羨ましい……?」
「落ち着いてください」
驚くほど何も取り繕えていない。
何だかいろいろと吹っ飛んだやり取りだが、ハイネは顔色一つ変えず、淡々と会話を刈り取っていく。
「話し方はお任せしますよ。身分は王子たちの方がずっと上ですし。あ、肩に手置くのやめて頂けます? 私個人としましては、身分関係ない先生と生徒の信頼を築きたいと思い……あ、もう少し離れて頂けます? 近い」
「ちょっとセンセ、やっぱ俺に冷たくない!?」
ぺっ、とリヒトの手を外し、ススッ、と距離を取るハイネにリヒトが叫ぶ。大人げない。
呆れば、その傍らにいたブルーノが冷えた眼差しをリヒトに注ぐ。
「日頃の行いのせいだろう。まったく、お前はいつもだらしない……」
「そんくらいがちょうどいいもーん」
「お前のだらしないは度を越えている! 毎日どことも知らない女を部屋に連れ込んで!」
「ふーんっ! 俺のことブル兄ぃにいろいろ言われる筋合いないもんね!」
(王子様の会話がこれでいいんだろうか……)
ぎゃんぎゃんと言い合うブルーノとリヒトを眺めながら、しかしシリルは止めようとは思わなかった。
触らぬ神に何とかや。もう見なかったことにしよう。
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まぼぷりん。 - 22話、「気位エベレスト王子」じゃないですか?「エレベスト」であってます? (2021年2月1日 17時) (レス) id: c10f97d942 (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - サラさん» ドッキリをやる予定はありませんが、どこかで暴露はしたいなと考えています。今のところですが。ご感想ありがとうございました。 (2019年1月8日 18時) (レス) id: 2ce5584cfa (このIDを非表示/違反報告)
サラ - 瑪瑙さん» 別にドッキリとかそういうのじゃなくてマジ本気なやつ言ってます。 (2019年1月8日 11時) (レス) id: 48991e4e6a (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - サラさん» その辺りも追々考えていこうと思っています。良い反応をしてくれそうですよね(^^) (2019年1月8日 9時) (レス) id: 2ce5584cfa (このIDを非表示/違反報告)
サラ - 瑪瑙さん» でも、女性だったって言ったら、王子たちの反応が楽しみで仕方ありません。 (2019年1月8日 0時) (レス) id: 48991e4e6a (このIDを非表示/違反報告)
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