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己の言動を思い出して頭を抱えていれば、不意にポン、と頭に何かが触れた。



顔を上げれば、邪気のない表情でカイがシリルの頭を撫でている。硬直した。



絶句する彼女の頭を無言で撫でるカイに、ハイネが何事かという視線を向ける。



「あの……カイ王子……? 私の助手が何か……?」


「……小さい……」


「小さい……」



いや、身長はそこそこだと思う。



ハイネよりは高いが王子たちよりは小さい。いわゆる(女性の)平均身長ど真ん中。



……それなのに何故か皆、この格好だけで男と勘違いするのだ。



紛らわしい格好をしている自分も、まぁ悪いとは思うが、それでも普通分かるものではないのか? なんかこう、雰囲気とか態度で。



やっぱり、隣にいるのがハイネだからだろうか。目の錯覚というやつだろうか。



二人並べばどうやったって少年二人組にしか見えないことは承知しているが、それにしたって酷い気がする。



そんなことを現実逃避のようにつらつらと考え、それどころではないと我に返る。



相変わらず、目の前には妙に読めない表情のカイがいて、その背後ではハイネが微妙な顔をしている。



さらさらと髪を撫でられる感触は嫌ではないが、この状況は如何なものかと思う。



王子に頭を撫でられるとか、どんな珍事だ。



「あの、カイ王子……?」


「ん?」


「……楽しいですか?」


「ん」



こくりと頷く動作が可愛かった。



自分より年上のはずだが、何だろうこの謎の敗北感は。



いろんな意味で抵抗する気力を削がれ、もう諦めて大人しくしていることにした。



しばらくして、満足したらしいカイが手を離す。



そのまま視線を巡らせ、ハイネが持つファイルから覗くテストを見つけた。



「先生……それテスト……? 俺に……?」


「あ、ええ。お願い致します」



ハイネからテストを受け取り、地面に座ったままカイが問題を解き始める。



その間にパタパタと身なりを整えながら、シリルはハイネの隣に立ってその様子を見守った。

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まぼぷりん。 - 22話、「気位エベレスト王子」じゃないですか?「エレベスト」であってます? (2021年2月1日 17時) (レス) id: c10f97d942 (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - サラさん» ドッキリをやる予定はありませんが、どこかで暴露はしたいなと考えています。今のところですが。ご感想ありがとうございました。 (2019年1月8日 18時) (レス) id: 2ce5584cfa (このIDを非表示/違反報告)
サラ - 瑪瑙さん» 別にドッキリとかそういうのじゃなくてマジ本気なやつ言ってます。 (2019年1月8日 11時) (レス) id: 48991e4e6a (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - サラさん» その辺りも追々考えていこうと思っています。良い反応をしてくれそうですよね(^^) (2019年1月8日 9時) (レス) id: 2ce5584cfa (このIDを非表示/違反報告)
サラ - 瑪瑙さん» でも、女性だったって言ったら、王子たちの反応が楽しみで仕方ありません。 (2019年1月8日 0時) (レス) id: 48991e4e6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑪瑙 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年11月1日 18時

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