二十五ノ幕 ページ27
深淵のような宵闇の中に耳障りな音が響き渡る。
不気味で、不快で、不穏な音。
静謐とも言える静寂を乱すそれは、狂気すら孕んだ一心不乱さを纏う。
その中で穴を掘りながら、紫月は絶望とも諦観ともつかぬ色を眼差しに宿していた。
穴を掘るだけの、果てなき夢。
終わることのない、淡い悪夢。
眠るたびに彼女を苛む、地獄。
祠の前には紫月が連日、ひたすら掘り続けてきた深い穴がある。
それを更に掘りながらも、今夜の紫月は不思議と安堵にも似た感情を抱いていた。
明日、この里を離れる。
ここから離れれば、この夢も終わる。
確信に近い願望を抱きながら、紫月は最早抗うことはせず、無心に深さを増す穴を掘り続ける。
これが最後。
これで終わり。
そう自分に言い聞せ、身を乗り出すだけでは届かなくなった穴の底へと懸命に手を伸ばし、最後の力を振り絞って土をかき出した――その刹那。
ガッ、と指先に鈍い衝撃が走った。次いでやってきた鋭い痛みに凍りつく。
何が起こったのかと恐る恐る己の手を見れば、爪が割れ、血が滲んでいた。
呆然とそれを見つめ、次いで穴の底に目を向ける。
そして、闇に慣れた瞳が穴の底に埋もれる『何か』を見つけた。
……石かと思った。
土にまみれながらも白いそれは、石によく似ていた。
傷付いていない方の手を伸ばし、埋もれるそれを懸命に掘り返す。
土を払い、掘り起こし、やがてその全貌が明らかになった時、紫月の喉から声にならぬ悲鳴がこぼれた。
――骨だ。
人の、人間の、白い骨。
爪を割る原因となったのは、人の頭。頭蓋骨。
更にはその下にも大量の骨が土に埋もれ、仄白い光を放つ。
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瑪瑙(プロフ) - ちびレトさん» ありがとうございます！物語もそろそろ佳境、楽しんで頂けたら幸いです(^^) 頑張ります！ (2018年11月9日 21時) (
レス) id: 2ce5584cfa (このIDを非表示/違反報告)
ちびレト - 更新待ってましたー！ヽ(*´∀｀)いつも楽しくドキドキしながら読んでます♪♪ (2018年11月9日 18時) (レス) id: 4dbeda4f8f (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - 栞さん» ありがとうございます！彼女自身、いろいろと感情が揺さぶられているようです…。今後もよろしくお願いします！ (2018年10月10日 23時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
栞(プロフ) - うわぁ...紫月さん可愛ええ...。いつも楽しく見てます… (2018年10月10日 22時) (レス) id: cbb68f3624 (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - みづなさん» ありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです(^^) 亀更新ですが、これからもよろしくお願いします！ (2018年9月12日 21時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
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