十二ノ幕 ページ14
人の気配はなかった。
獣や鳥の気配すらなく、静まり返った空間に水の流れる音だけが響く。
白い石が敷き詰められた河原。
その側を流れる"たま川"。
反対側には覆うように草木が垂れ下がり、奥へ奥へと紫月を誘う。
見覚えのある光景だった。
ぞっとするほど夢と同じ場所を辿りながら、紫月は今すぐこの場所から逃げ出したい心境に駆られる。
しかし、心がそう望んでも身体が拒否する。
逃がしはしないと、紫月の身体を引き寄せる。
やがて草木が途切れ、視界一面に白い石河原が広がった。
流れる川を左手に置き、遮るものを失った河原にぽつねんと鎮座する祠を見つける。
何の変哲もない、平らな石。
楕円形の石を縦に置き、周囲にこれまた白い石を幾重にも重ねて円を作り、誰が供えるのか小さな花が置かれている。
祠と呼ぶには、あまりに簡素。
神を祀るには、あまりに質素。
だが、それは紛れもない、"川神様の祠"。
言葉はなかった。
驚愕もなかった。
ただ夢と寸分違わずそこにある、目の前の光景を見つめることしかできなかった。
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瑪瑙(プロフ) - ちびレトさん» ありがとうございます!物語もそろそろ佳境、楽しんで頂けたら幸いです(^^) 頑張ります! (2018年11月9日 21時) (レス) id: 2ce5584cfa (このIDを非表示/違反報告)
ちびレト - 更新待ってましたー!ヽ(*´∀`)いつも楽しくドキドキしながら読んでます♪♪ (2018年11月9日 18時) (レス) id: 4dbeda4f8f (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - 栞さん» ありがとうございます!彼女自身、いろいろと感情が揺さぶられているようです…。今後もよろしくお願いします! (2018年10月10日 23時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
栞(プロフ) - うわぁ...紫月さん可愛ええ...。いつも楽しく見てます… (2018年10月10日 22時) (レス) id: cbb68f3624 (このIDを非表示/違反報告)
瑪瑙(プロフ) - みづなさん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです(^^) 亀更新ですが、これからもよろしくお願いします! (2018年9月12日 21時) (レス) id: 4aa70732e7 (このIDを非表示/違反報告)
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