ページ ページ47
するといつの間にか頬が緩んでいたらしく、ユーリをみるなりルチルは文句一つでも言いたげに顔を歪めた。
「なに、笑ってるんだ」
「え、えっと！ 兄弟みたいだなぁって！」
現にそう思った。ドランの方が兄で、ルチルの方が弟。でもそんなに歳は離れてないような兄弟。
「俺とルチルが兄弟か。まあ似たようなもんだしな」
「……どこがだ」
「……龍なんてもう数は少ないだろう。皆、親しいんだから家族同然だとは俺は思ってる」
ドランはそう言うと小さく微笑んだ。ルチルは、それにふんと鼻を鳴らしたが言い返そうとはしない。どうやら、彼自身もそれは感じているのだろう。
「まあいいや。お茶飲むんだろう？」
「ああ……先ほども言ったがお前らが迷惑じゃなければだが」
「私は、全然大丈夫ですよ。ゆっくりしていってください」
ユーリが笑えば、ドランはありがとうと頷いた。
ロイドやベルと一緒のときはにぎやかだが、ドランと一緒のときはとても穏やかだ。彼らと一緒にわいわい騒ぐのも楽しいが、こうしてゆったりとまどろめるような時間を過ごすのもなかなかに有意義だと、ユーリは今日ドランに見守られながら買った紅茶をすすりほっと溜息を零した。
「おばあちゃんみたいだな、ユーリさん」
「……いつも、こんな感じだよ」
くすくす笑うドランに、少し呆れ顔のルチル。
言われてみれば確かに今のは、少し年寄りめいていたかもしれないと思うと少し恥ずかしくなる。ユーリが溜まらずうつむけば、ドランはやさしい顔で呟いた。
「別に、恥ずかしがることでもないさ」
しかし、そういわれても恥ずかしいものは、恥ずかしい。ううと、言葉を失ってユーリが口を結べば、それに気付いたのかルチルがすかさず話をそらした。
「それで、龍王様の様子はどうなんだ？」
「ん？ ああ。相も変わらずといったところだな。体の方はやはり良くないようだが、それでも国の民と関わっている。
この前なんか、子供たちと遊ぶ約束をしていたらしいんだが、体の状態が優れなくて遊べなくなったんだ。だけど、子供たちが心配してわざわざ王宮まで様子を見に来たらしい。花をあふれるばかりに抱えて。結局、そのあとアッサムに怒られたとノアールさんが困ってたよ。まあ、龍王様は
『王として、国民に好かれることほどよろこばしいことはないよ』
なんて笑ってたらしいがな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
自由気ままに生きる難聴の音霧想(プロフ) - 五十鈴さん» お久しぶりです＞＜五十鈴さんのお力もあり無事完結しました。ありがとうございます。そういっていただき光栄です！いえいえ、こちらも最後までご愛読いただき本当にありがとうございました！また機会がございましたらよろしくお願いします。 (2017年5月17日 21時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴(プロフ) - ううおおあああコメが遅れたスミマセン完結おめでとうございますぅぅぅ←発狂中お疲れ様でした！もう途中で何度泣いたことか…!!最終的に完結しちゃった事に号泣しましたけど！( ；∀；)素晴らしい作品を有り難う御座いました！(ルチルとルシファーとベル大好きです。) (2017年5月17日 0時) (レス) id: 72f0cf2fb8 (このIDを非表示/違反報告)
難聴の音霧想(プロフ) - チェシャ猫さん» いえいえ！ 要望くださってありがとうございます！ ルシファー君はもともと美しいものに執着してる設定の悪魔ですので、あの台詞を言っているとき「ルシファー君っぽいなあ」と思って書いてました(笑) (2017年4月30日 21時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - うおあぁぁぁぁぁ！！！ベルくんとルシファーの絡みありがとうございます！！応えてくださって嬉しい限りです！最後のルシファーの台詞かっこ良すぎです！惚れます！本当にありがとうございました！！！ (2017年4月30日 21時) (レス) id: 785830d201 (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - チェシャ猫さん» コメントありがとうございます。私も一年近く書いてきたこの作品が完結したので、寂しい気持ちです（苦笑）この作品を毎日書くことが日課だったので。ベリアル君を気に入っていただき嬉しいです。ベルくんとルーちゃんですね。番外編のほうで二人の絡み書いてみます！ (2017年4月26日 23時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
