ページ ページ4
「ブロンの長期間の他国との貿易の閉鎖の間、他国は確実に力をつけてる。文化だけじゃない、武器もここ数年で異様な発展を見せた。イリスの国王も確実にブロンは落とす気だ。
まあ、ブロンからの宣戦布告を知らせる文が届いたんだがな。大方、イリスの領土をぶんどることが目的だろう」
「だぁけぇど！ 今、確実にブロンは他の国より何もかも遅れてるからねえ。小国といえど、イリスは魔法使いが住む国、かつ僕らみたいな悪魔やノアール君たちみたいな龍人だっているからねえ。まあ、すぐに終わるよ」
ルシファーは全面戦争となれば腕が鳴るねぇ、と満面の笑みを浮かべた。ノアールはそれにドジするんじゃないぞとわずかに呆れ顔で呟いた。
ユーリは考える。でも、自分にはブロンを庇う理由なんてものはない。ルチルだけじゃないロイド、ドランやノアールを殺そうとした国なのだ。それにルチルを匿っていた自分は間違えなく、ルチルと同じ共犯だ。自分はブロンからすれば罪人なのだ。
「……イリスは、種別的な差別はない。無論、ルチルも君ももっと自由に生きれるようになる」
かける情なんてないのに、何故か母国を失うとなると悲しくなる。
けれど、イリスに渡ればこんなことに巻き込まれなくてもいい。ルチルもあんなふうに銃を向けられなくてすむ。断る理由なんてものもなくて、ユーリはうつむいた。
「元々、イリス自体、激しい種別差別の当時の世界に反発して建国された国だからねえ。国民たちも差別は一番嫌ってるみたいだし。小国ならではだけど、国王の目もよく行き届いてるからねえ。
まあ、時間もあることだし、ゆっくり考えればいいよ。でも、君の中で答えは決まってるように僕には見えるけどね」
ルシファーはそう言うとポケットから煙草をとりだし、窓枠に近づいた。魔法陣を開くこともなく、煙草はジジッと音を立てて火がつく。慣れた手つきで、ルシファーは煙を浮かべていた。
「さて、時間もまだ少しある。俺も疲れたし、他に聞きたいことがあるなら明日にしようか」
「あ、はい」
ユーリの心情を察したのか、ノアールはそう言うと席を立った。ユーリはそれにほっと肩を撫で下ろす。
「あー、じゃあ僕が一方的に話してもいい？」
「……なんだ」
「結構、重要だと思うんだけどねえ。銀龍くんのこと」
「ルチルの……？」
ユーリが首をかしげるとルシファーはそー！ と満面の笑みを浮かべた。
「君の知りたいこと」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
自由気ままに生きる難聴の音霧想(プロフ) - 五十鈴さん» お久しぶりです＞＜五十鈴さんのお力もあり無事完結しました。ありがとうございます。そういっていただき光栄です！いえいえ、こちらも最後までご愛読いただき本当にありがとうございました！また機会がございましたらよろしくお願いします。 (2017年5月17日 21時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴(プロフ) - ううおおあああコメが遅れたスミマセン完結おめでとうございますぅぅぅ←発狂中お疲れ様でした！もう途中で何度泣いたことか…!!最終的に完結しちゃった事に号泣しましたけど！( ；∀；)素晴らしい作品を有り難う御座いました！(ルチルとルシファーとベル大好きです。) (2017年5月17日 0時) (レス) id: 72f0cf2fb8 (このIDを非表示/違反報告)
難聴の音霧想(プロフ) - チェシャ猫さん» いえいえ！ 要望くださってありがとうございます！ ルシファー君はもともと美しいものに執着してる設定の悪魔ですので、あの台詞を言っているとき「ルシファー君っぽいなあ」と思って書いてました(笑) (2017年4月30日 21時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - うおあぁぁぁぁぁ！！！ベルくんとルシファーの絡みありがとうございます！！応えてくださって嬉しい限りです！最後のルシファーの台詞かっこ良すぎです！惚れます！本当にありがとうございました！！！ (2017年4月30日 21時) (レス) id: 785830d201 (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - チェシャ猫さん» コメントありがとうございます。私も一年近く書いてきたこの作品が完結したので、寂しい気持ちです（苦笑）この作品を毎日書くことが日課だったので。ベリアル君を気に入っていただき嬉しいです。ベルくんとルーちゃんですね。番外編のほうで二人の絡み書いてみます！ (2017年4月26日 23時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
