�検�護りたい人（続） ページ1
「まあ、説明していくと、お前は魔女狩りにあっただろう。そのときお前を助けたのは俺だ」
ユーリは目を見開いた。脳裏にあの夢がフラッシュバックする。それじゃあ……あのときの夢は、本物ってこと？ ユーリは息を飲んだ。
「……あの日はやけに森が騒がしくてな。ああ、違う。森だけじゃない、動物たちもだ。何かに怯えて逃げ回っていた。
違和感を覚えて、俺は夜の森に出たんだ。そしたら、空間が捻じ曲がってとある町にあった森と繋がっていた。原因は……あとで話す。その森がユーリが逃げ惑っていた森だったんだ。
うるさいのは嫌いだからな。おれは騒音をなんとかして止めたかった。だから、音の原因を排除したんだ」
音……あの銃のことか。でも、なんで一人だけの時を止めたのだろうか。
すると、ノアールが眉根をひそめた。隣で相変わらずニヨニヨと笑うルシファーが、声漏れてるよと教えてくれる。ユーリはとっさに口を押さえたが、手遅れだったらしい。
「……お前、本当に忘れてるのか？」
ノアールの低い声にユーリは縮こまり、小さな声で答える。
「夢で、見たんです。最近のことなんですけど。黒いローブの人が、幼い私を追ってくる大人たちから助けてくれる夢。その中で一人、時が止まっていました」
「……ふーん、変な話だね。ノアールくんが記憶を消したはずなのに」
「どうだろうな」
ルシファーの呟きに、ノアールはすかさず口を挟んだ。ユーリが首をかしげ、ルシファーがいかがわしげに目を細めた。
「人間の記憶というのは思う以上に優れている。例え過去の記憶が思い出せなかったとしても、完全に記憶がなくなったわけじゃない。根っこはわずかだが確実に残っている。例え思い出せないようにしてもだ。
本人が大切だと思っている記憶なら、尚更だろう。
俺が消したのは間違えなく表面上の記憶であって、根っこから完全に抹消したわけじゃない。というか、魔法学的には完全に抹消することは不可能なんだ」
「ふーん……じゃあ、花売りちゃんの中にはその根っこが残ってたわけね」
「ああ、間違えないと思う」
「でもなんで今更、夢で見たわけ？ 花売りちゃんはさっき最近って言ってたから、その最近までは見てなかったってことになると思うけど」
難しい会話をしているが、疑問に思ったことはすかさずルシファーが問うてくれるので、ユーリは黙ってそれを見つめていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
自由気ままに生きる難聴の音霧想(プロフ) - 五十鈴さん» お久しぶりです＞＜五十鈴さんのお力もあり無事完結しました。ありがとうございます。そういっていただき光栄です！いえいえ、こちらも最後までご愛読いただき本当にありがとうございました！また機会がございましたらよろしくお願いします。 (2017年5月17日 21時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴(プロフ) - ううおおあああコメが遅れたスミマセン完結おめでとうございますぅぅぅ←発狂中お疲れ様でした！もう途中で何度泣いたことか…!!最終的に完結しちゃった事に号泣しましたけど！( ；∀；)素晴らしい作品を有り難う御座いました！(ルチルとルシファーとベル大好きです。) (2017年5月17日 0時) (レス) id: 72f0cf2fb8 (このIDを非表示/違反報告)
難聴の音霧想(プロフ) - チェシャ猫さん» いえいえ！ 要望くださってありがとうございます！ ルシファー君はもともと美しいものに執着してる設定の悪魔ですので、あの台詞を言っているとき「ルシファー君っぽいなあ」と思って書いてました(笑) (2017年4月30日 21時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - うおあぁぁぁぁぁ！！！ベルくんとルシファーの絡みありがとうございます！！応えてくださって嬉しい限りです！最後のルシファーの台詞かっこ良すぎです！惚れます！本当にありがとうございました！！！ (2017年4月30日 21時) (レス) id: 785830d201 (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - チェシャ猫さん» コメントありがとうございます。私も一年近く書いてきたこの作品が完結したので、寂しい気持ちです（苦笑）この作品を毎日書くことが日課だったので。ベリアル君を気に入っていただき嬉しいです。ベルくんとルーちゃんですね。番外編のほうで二人の絡み書いてみます！ (2017年4月26日 23時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
