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ああ、本当になんでこいつこういうときかっこいいんだろ、ルチルは内心そんなことを呟いた。勿論、多少なりとも苛立ちを覚えて、だが。
「ひとまず、今は休めるなら休め」
「……」
「あの子も、無事に目覚ましたんだから」
「……ああ」
ルチルはロイドのその言葉に目を細める。ああ、目、覚ましたんだ。と改めて、実感したのだ。
あの大きなターコイズが開いたていたとき、泣きそうになった。今度は、守れたんだとじわじわ感情があふれ出す。
ロイドは黙り込むルチルを、静かに見つめていたが間もなくそっと頭を撫でる。そこでルチルは自分が泣いていることに初めて気付いた。
きっとその実感へ対しての安堵感だろう。しかし、彼女にだけはこんな情けない姿だけは見せたくなくて、声が漏れないよう口元を押さえる。
「……別に、あの子お前のそんな姿見て嫌う子じゃないと思うけど」
「うる、せえ。俺が、見せたくねえんだ、よ」
震えた声でそう返せば、ロイドはそれにわずかに眉根をひそめそれならしょうがないと、前を向いた。
少しして、慌てた様子でベルとカランが姿を見せた。そのころには、ルチルは無理やり涙を押さえ込んだ。
「ルチルくん、大丈夫？」
「……あ、はい」
不安そうに覗き込むカランに、ルチルは小さく頷いた。
「ていうか、すいません。急に訪ねてきて」
「ふふ、ほんとよ。驚いたわ。でも、いいの。あなたには結婚式のときに助けてもらったしね」
あれは、助けたに入るのだろうかと内心考えてしまうが、ルチルは小さく「いえ」と呟き目を伏せる。
疲労で動かない体を引きずり、ルチルたちはカランの店を訪れた。女性の服を剥いで治療する勇気など到底持ち合わせていなかったためだ。カランは驚いた様子だったが、ロイドが述べたとおり事情を聴かず受け入れてくれた。そして、眠る彼女にちゃんと治療を施してくれたようで、先ほど彼女が傷に顔を歪めることはなかった。
「俺は、大丈夫なんで、ユーリの様子見てもらえますか？」
「……ええ、分かったわ。ルチルくん、ちゃんと休んでね。心配なのは分かるんだけど、あなたが体調を崩したらユーリちゃんも罪悪感があるだろうし、もともこもないでしょう」
「……善処します」
ルチルはそう言うと目を伏せた。彼女のことが心配で、のうのうと寝ていられる自信がないのだ。でもまあ、あの子に心配かけるわけにいかないかと、ルチルは目を閉じた。
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